現役最後の試合を終えてサポーターに手を振るセ大阪の大久保嘉人
現役最後の試合を終えてサポーターに手を振るセ大阪の大久保嘉人

――昨日の試合は新型コロナウイルスの感染拡大以降はじめて、観客上限数を撤廃しての試合でした。アウェイとはいえ、最後に3万人以上の観客の前でプレーしました。

 それは本当に良かった。ずっと制限が続いてきたなかで、最後の最後で、あれだけファン・サポーターが入ってくれて。やっぱり大勢のお客さんの前でプレーできるのは最高です。しかも、あの埼スタ(埼玉スタジアム2002)で。

――後半19分に退くまでに、ゴールには届かなかったが見せ場はつくりました。一方、試合は序盤から劣勢で、0-2の完敗。終了後の会見では「負けて当然の試合」「(改善点は)攻撃もディフェンスも。J1にいるならもう少しできないと」など、セレッソ大阪への厳しい檄(げき)もありました。ピッチを去るときの思いは。

 自分自身は普通にプレーできた。ピッチを出るときはイライラしていて、何も考えていなかったですね。セレッソ大阪に言いたいこと、伝えたいことはたくさんあります。これまで言わずにきた部分もあったけれど、最後は言わなきゃ気づかないこともあるだろうと思って言いました。どう改善されるのか見ていきたいし、頑張ってほしいですね。

――最後の天皇杯は準決勝どまり。様々な個人記録の一方で、チームタイトルには手が届きませんでした。

 もちろん取れたらいいなとは思っていたけれど、こればっかりは自分一人でできることじゃないし、チームあってのことですからね。周りからはよく言われるんだけど、周りが言うほどはそこにこだわってはいませんでした。Jリーグで名を残したいと思ってプレーしてきて、3年連続得点王も取れたし、通算得点もこれだけ積み重ねられた。悔いはないです。

――引退会見では、現在ベストスコア91のゴルフで90を切るのが目標と語っていました。これからのサッカーとのかかわり方や、今後やりたいことは。

 福岡でサッカースクールをやっていたり、自分みたいな子どもを育てたいという思いはあったりするので、何らかの形でサッカーには関わっていくと思う。でも、具体的なことは、今のところは特に考えていないですね。昨日終わったばかりなので。サッカー以外ではゴルフもそうだし、テレビに出るなど、いろいろやってみたい。ようやくサッカー以外のことができるから、楽しみですね。

(構成/編集部・川口穣)

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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