不要な物を手放して物の住所を決めるたら、気分の上がるキッチンになりました/After【ビフォー・アフター写真をもっと見る】
不要な物を手放して物の住所を決めるたら、気分の上がるキッチンになりました/After
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 母親が内側から変わると、息子の心も動き出しました。お小遣いが欲しくて、「ママ雇って」と家事を始めました。片づけや掃除、料理に興味を持ち、「バッテリーがないから買ってきて」などと最低限の話はするようになりました。

「散らかっていると片づけようという心も折れるけど、今は何がどこにあるかわかるし、ちょっと動けばすぐに片づいて達成感もある。彼も片づけとか家事が楽しいみたいです」

 お小遣いがもらえる上に、「ありがとう」も言ってもらえる。息子は家事を通して少しずつ自分を取り戻していきました。

 夫との関係も変わりました。

「家事はまだまだ公平とはいきませんが、お互いに『ここまでやる』という話ができて、家庭がうまく回っていればいいかなって思えるようになりました。キッチンが整ったら、洗った食器を夫が元に戻してくれることも増えました」

 女性って、「こっちを向けば、自分は元気になれる!」とわかると、すごい力を発揮すると思います。京子さんは夫婦のポジティブ、ネガティブ両方の面を俯瞰し、「ストレスなく過ごすにはどうしたらいいか」という視点を持って物事を考えられるようになりました。息子には、両親の仲がよくなったように見え、夫婦の会話に入りたい素振りも見せるようなりました。そこから、家族の関係性はほぐれていきました。

 息子の17歳の誕生日。4年ぶりに家族で外出し、京子さんはずっと撮りたかった家族写真を撮ることができました。今は息子が一番の相談相手になってくれています。

「自分の子どもが変わってしまった時、真っ暗な底なし沼にいるような気持ちでした。そんな時に出会ったプロジェクトの女性たちは、それぞれ問題を抱えているのに会うとみんな笑顔。向上心があって家族思いなんです。自分ばかり後ろ向きではいられないなって思えました」

 さまざまな考え方に触れて京子さんの価値観も広がりました。豊かな表情を見せてくれる息子のこれからは、親子で大切に考えていくそうです。

 家庭は最小限の社会です。そこで暮らす全員の居場所が整えば、誰か一人に負担がかかることもなくなるし、お互い気分良く過ごせます。2022年は女性や親子だけでなく、夫婦や男性向けの片づけ講座にも取り組んでいきます。家庭の問題を孤独に抱えこむような人を1人でも減らしたい。そう願って、楽しく参加してもらえる工夫をあれこれと考えています。

◯西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・夫婦間のコミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト®」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。ラジオ大阪「西崎彩智の家庭力アッププロジェクト」(第1・3土曜日夕方)が2021年5月1日からスタート。フジテレビ「ノンストップ」などのメディアにも出演

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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