ペティナイフで玉ねぎスライス

 主菜はサーモンのオーブン焼き。鮭は扱いやすいように、お刺身用に柵で売っているものを選びました。鉄板にクッキングシートを敷いてサーモンを切らずに乗せ、全体に塩をふります。きのこ類とハーブをキッチンバサミで切り、玉ねぎのスライスのみ、ペティナイフを使いました。

 ナイフで切る時には、身体のバランスを取るために足を大股に開き、踵をしっかり着けるようにとだけ伝えました。

 切り口はかなり大きくなりましたが、玉ねぎは加熱すると甘くなるのでこのままで。サーモンの上に乗せ、コショウを効かせてからオリーブオイルを全体に回しかけ、オーブンに入れました。

 次はシンガポールチキンライス風の炊き込みご飯です。本来は大きな鶏肉を使うようですが、切り分けを考え、から揚げ用に切ってあるものを使用しました。味の決め手となるニンニクやショウガはチューブ入りのものを使い、調味料を入れて炊飯器にセットするだけで完成です。

 最後まで悩んだのが汁物でした。初めはキッチンバサミで食材を切り、鍋で煮ようかと考えましたが、息子は歩くと左右に身体が大きく揺れるため、鍋やスープ皿を持ってテーブルに運ぶのが困難なように思いました。

 そこで最も手軽に作る方法として、市販のサラダチキンを手で裂き、長ネギをハサミで切り、コンソメ顆粒とともにスープ皿に入れた状態でテーブルまで持って行き、食べる直前にポットのお湯を注ぐことにしました。

揚げ物は冷凍フライドポテトを

 翌年には、家庭科と社会科(地理)とのコラボレーションの宿題で、中3の修学旅行で行く予定のカナダの郷土料理を作ることになりました。

 自由な発想で作れた前回とは異なり、まずはどんな料理があるのかを調べるところから始まります。息子は学校から来たレシピを参考に、プーティンとサーモンソテーのメープルソースかけを選びました。

 プーティンとは、揚げたじゃがいもにひき肉とチーズを炒めて乗せたものです。けれども、直立したままの状態が難しい息子には、揚げ物は安全面でも難しいのです。

 そこで、レシピを少しかえ、電子レンジで調理ができる冷凍のフライドポテトを使うことにしました。サーモンは前年同様にオーブンで焼き、メープルソースは椅子に座ったまま混ぜるだけで完成します。

 ひき肉を炒めるところはフライパンで焼くことにチャレンジしましたが、油がはねて怖がるたびに、ヨロヨロとバランスを崩してギブアップ(笑)。見かねた次女が、手を貸していました。

 宿題なので最後まで自分で作るべきでは?とも思いましたが、障害のある子どもたちは『助けてほしい』と周囲にヘルプを出すことも大切です。黙って二人に任せることにしました。

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2つの調理実習を通じて