8月に発表された「ツイス島&シャウ島」は、ベテランバンド、ユニコーン16枚目のオリジナルアルバムだ。AERA 2021年10月18日号で、奥田民生と川西幸一と手島いさむが語り合った。

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――テーマはずばり“ロックンロール”だ。2年ぶり16枚目のオリジナルアルバム「ツイス島&シャウ島」は、そんな伝家の宝刀を抜いたことで、遊び心があふれる軽快な仕上がりになった。

手島:このご時世ですので、僕らも楽しんで一曲一曲ていねいにかつ、皆さんにも肩の力を抜いてもらえるようなものを作りましょう、というところから始まりました。

奥田:ロックンロールのフォーマットには、例えばAメロが1回しか出てこないとかがあったりするので、さっとやってさっと終わる感が出たりしましたね。結果、曲が短くなりました。

■曲に必要なものだけ

手島:最近曲を作っていると、みんないろいろと凝っちゃって、曲が長くなりがちだったんです。ユニコーンの場合、ライブも想定して、イントロやアウトロの長さも全部プロデュースしてるわけなんです。あまり広くわかっていただけない芸術的な部分はあるにしても、要はこちらからすると必要なものしか曲に入ってない。だけど、“ロックンロール”っていうテーマを付けたことで、必要なものしか入ってないんだけど、スリムになりましたね。

川西:メンバーそれぞれ、その“ロックンロール”に当てた年代や狙ったところが、いろいろ違ったのが面白かったですね。ABEDONが作った「RRQ」は、ロックンロールクイズを掲げておきながら、別にクイズじゃないっていう(笑)。

手島:「このシュールさがやっぱりユニコーンなんだ」と、いままで鍛え上げられたお客さんたちにはわかってもらえると思います。新しい人たちにいきなりこれを「わかってほしい」っていうのは無理な話だと思いますけど(笑)。

――楽曲がコンパクトなスタイルになったことによって、レコーディングにはどんな影響があったのか。

奥田:楽器の数は少なくなって、レコーディング時間もコンパクトになりましたけど、「あの時代のあのバンドのあの音を再現したい」ということになって、セッティングに時間はかかりましたね。ベーシックに録っておいて、後でミックスとかで音をいじるよりも、一発でそのままその音を出せるなら出したいので。だから、その趣味の部分のための準備に一番時間がかかるという(笑)。

手島:ナチュラルにその音が出るのがまた、味だったりするからね。だから、演奏する時はいつもより何も考えなかったですね。弾く回数も少ないですよ。

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