元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 正直に言うと緊急事態宣言が発令されていることも忘れ気味になっていたが、それでも嬉(うれ)しい宣言解除。だが東京ときたら緊急事態が日常だから、緊急じゃない日の過ごし方も忘れ気味になっている。

 で、改めて解除後の日常を考えてみた。

 やはり何が嬉しいって、外飲みができることだ。

 なんて言うと、感染再拡大を懸念して眉をひそめる人がいるやもしれぬ。でも居酒屋をこよなく愛する身としては、感染拡大の責めを酒が一身に負う現状が永久に続くことが良いとは思わない。支援金が出るならOKという話でもない。居酒屋とはこの孤独な時代に残された、ゆるくて懐の深い貴重なコミュニケーション空間だ。孤独担当大臣がいて居酒屋のない世の中になんてしちゃいけない。それに店が開かなければ店を支える食材提供者や酒蔵が危機に立つことも忘れてはならない。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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