山内:以前は「M-1」とか、賞レースに向けてかっちりネタを仕上げていたんですけど、最近は2人の喋(しゃべ)り自体を楽しむように変わってきたところはあります。キャラを決めて役割分担するんじゃなくて、普段の僕らが喋っている延長線上にネタができてくるという感じですね。

■ウケなかったネタが

濱家:お客さんの前で仕上げていくことも結構多いですね。まず、単独ライブで一旦の完成形を披露して、その後、寄席とかでお客さんの反応を見ながら完成度を高めていく感じというか。

山内:僕らがめっちゃ笑うネタって、意外と舞台ではウケないことが多いんです(笑)。単独ライブでウケなかったネタが、その後「M-1」でウケたりもしますし、何が正解かはわからないですね。今年の上方漫才大賞のネタも、最初にやったのは14~15年前で、まだジーパンにTシャツとか着てライブに出てた頃です。

濱家:そうやったな。最初は全然ウケなかったネタが、数年後に手を入れ直したらすごくウケたりする。

山内:これまでとは違う角度から、「これやっぱ面白いな」って発見があって、そこからアップデートしていく感じだよね。

濱家:何年たっても「ここが面白いんだ」っていう芯の感覚は変わらないんですよ。その伝え方、見せ方が時間とともに成長していって、ウケるようになっていく。逆に言うと、単独ライブは僕らの全然ウケないネタを見られるチャンスでもあります。

――漫才師、コント師として腕を磨いていくという2人の思いは、ライブのタイトルにも込められている。

濱家:まだまだ僕らは成長の途中で、新しいネタを作って挑戦していきたい。それでライブのタイトルには「道の途中」という意味のある「on the way」とつけました。ただ、本当に意味が合っているかどうかはわからないので、英語できる人は調べてください。

山内:ちゃんと英語で書こうとすると結構長めの文章になってしまうんですよ。なので「※諸説あります」ということで……。

濱家:各自、自由な受け取り方をしていただきたいですね。

(構成/ライター・澤田憲)

AERA 2021年9月27日号