ただ、河原さんと一致したのは、宝塚時代に演じていた男役の延長線ではない、ギリギリのラインを狙っていこう、ということ。同じことを繰り返すのでは成長できませんし、環境も違います。私も宝塚を卒業して新しい人生を勉強しているところで、新しい表現方法を探っていきたいと思っていたので、うれしかったですね。

宮田:僕は、「怒られないようにしてたら怒るからな」とも言われました。ということは、怒られるようにしてたら怒るから、結局怒られるよね……?! 思ったんですけど、意図はわかりました。稽古場で挑戦しなかったり安牌を狙っていたりしたらダメだ、ということですよね。じゃあ、怒られるように、挑戦も冒険もやってみちゃおうかな(笑)。

美弥:私も安牌を狙わず、新しい気持ちで性別を超えた役に挑戦できたらいいなと思っています。登場人物の個性も豊かで、キャラクターのやり取りも濃い。それを出演者の皆さんと作っていくのも楽しみです。

■歌やダンスを通じて

――今回の舞台は音楽劇だ。生バンドの演奏と共に原作のスピード感ある世界を表現する。

宮田:アニメは浅草やロスに行ったり、世界中をダイナミックに駆け巡るのが醍醐味なんですけど、舞台でどう表現するのかなと思っていました。「こんなやり方があるのか!」と僕も驚いたので、是非見ていただけたら。

美弥:歌やダンスを通じて表現できる、というのは舞台だからこそと思います。原作ファンの方にも、同じ作品だけど違う、違うけど面白い、と思っていただけたら。どのシーンが音楽や歌やダンスになるのか、というところも、楽しみにしていてください。

宮田:歌って踊るというのは、僕もジャニーズとしてやってきたことなので、やりがいを感じますね。アニメには騙している人と騙されている人を見ているつもりが、最終的に自分が騙されていた、という驚きと面白さがあった。そんな「グレートプリテンダーらしさ」を、舞台でも出せたらいいなと思います。

(編集部・澤志保)

AERA 2021年7月5日号