史上最も「アンフェア」な五輪に? 予選会中止や出場辞退で失われた公平性 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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史上最も「アンフェア」な五輪に? 予選会中止や出場辞退で失われた公平性

川口穣AERA
2004年アテネ五輪の野球で、阪神に所属していた左腕ウィリアムスらを擁したオーストラリアは銀メダルを獲得。日本は銅だった(写真:gettyimages)

2004年アテネ五輪の野球で、阪神に所属していた左腕ウィリアムスらを擁したオーストラリアは銀メダルを獲得。日本は銅だった(写真:gettyimages)

AERA 2021年6月28日号より

AERA 2021年6月28日号より

 東京五輪の開幕まであと約1カ月。コロナ禍で一部の予選会が中止になるなど選手側も混乱する。「平等・公正」といった五輪の基本精神が損なわれる大会になるのでは、と心配する声が上がる。AERA 2021年6月28日号から。

【図】世界で続く出場辞退や大会中止

*  *  *
 政府が東京五輪の強行開催に向けて準備を進めている。観客数は最大1万人にする方向だ。だが、その陰では、史上最も「アンフェア」な五輪になるのではとの懸念が広がっている。

 競泳で五輪に2度出場した松本弥生さん(31)=XFLAG=はこう危惧する。

「メダルを取った選手が将来、『あぁ、あの東京大会の……』という目を向けられてしまうかもしれない。それが同じ選手として残念でなりません」

 特に「無名」の選手がメダルを取ったとき、その声は高まるだろう。松本さんは言う。

「五輪では『不思議な力』というか、信じられないような力を突然発揮する選手が現れます」

 1992年バルセロナ五輪の競泳女子200メートル平泳ぎでは、当時世界ランキング14位でメダル候補にも挙がらなかった14歳の岩崎恭子が五輪新記録で優勝した。驚きのパフォーマンスを見せる選手は毎大会、現れる。本来、それもその選手の実力で、称賛されるべきものだ。だが、東京五輪では留保が付くのでは──。

■アフリカ選手権が中止

 最大の問題点が予選会の混乱だ。コロナ禍の影響で中止されたり、選考方法が変わったりする例が相次いでいる。

 陸上では、6月23日からナイジェリアで開催予定だったアフリカ選手権が中止された。陸上個人種目では、参加標準記録を突破するか、世界ランキングで五輪出場資格を得られる。同大会は世界ランキングに関係するポイントが大きく、ランキングでの出場を目指す選手に影響が出るほか、参加標準記録突破に向けてピークを合わせていた選手もいた。参加標準記録を狙える大会は他にもあるが、渡航制限や資金的な問題で出場が難しい選手も多いと見られる。五輪の陸上、特に長距離は毎回、アフリカ勢の独壇場だ。そのアフリカ勢の参加が一部の選手に限られたら、頂点の大会としてふさわしいとは言えないだろう。

 バドミントンは6月15日時点の世界ランキングに基づいて各国へ出場枠を配分する方式だが、予選対象の最後の大会だったシンガポール・オープンが中止に。結局、代替大会を実施せずにランキングが発表された。

 予選会自体は実施されても、参加を見送る例も少なくない。


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