藤井聡太棋聖、“歴史的な妙手”の裏に詰将棋で培った力 「終盤でのひらめき、発見にもつながる」と谷川浩司九段が分析 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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藤井聡太棋聖、“歴史的な妙手”の裏に詰将棋で培った力 「終盤でのひらめき、発見にもつながる」と谷川浩司九段が分析

松本博文AERA
谷川浩司(たにがわ・こうじ)/1962年生まれ。76年、14歳で四段昇段。83年、史上最年少21歳で名人就位。97年、十七世名人資格取得(撮影/写真部・高野楓菜)

谷川浩司(たにがわ・こうじ)/1962年生まれ。76年、14歳で四段昇段。83年、史上最年少21歳で名人就位。97年、十七世名人資格取得(撮影/写真部・高野楓菜)

6月6日の棋聖戦五番勝負第1局で、初防衛を目指す藤井聡太棋聖(左)は完璧に近い内容で渡辺明挑戦者を下した(代表撮影)

6月6日の棋聖戦五番勝負第1局で、初防衛を目指す藤井聡太棋聖(左)は完璧に近い内容で渡辺明挑戦者を下した(代表撮影)

 棋聖戦五番勝負で、藤井聡太棋聖が渡辺明名人に先勝した。AERA 2021年6月21日号で、早熟の天才として知られた谷川浩司九段に藤井の強さを尋ねた。

【写真】「レジェンド」として慕われる女流棋士

*  *  *
「藤井(聡太)さんと私にはいくつかの共通点がある」

 谷川浩司九段(十七世名人資格者)は、近著『藤井聡太論 将棋の未来』(講談社)でそう語る。

 谷川は59歳。一方の藤井は7月19日の誕生日にようやく19歳となる。40も年齢が離れた両者の共通点とは何か。

 まずは14歳(中2)という若さで棋士(四段)になったこと。その経歴から自明な通り、両者は将棋400年の歴史でも屈指の早熟な天才として、キャリアのスタートを切っている。

 谷川は1983年、史上最年少の21歳で名人位に就いた。この記録は現在も破られていない。一方、藤井は昨年、史上最年少の17歳で棋聖位に就いている。

 現代のスーパースター・藤井とは何者か。藤井に関する最上の語り手の一人が谷川である。

「将棋が好き。将棋が強くなりたい。将棋の真理を究めたい。藤井さんと対局して感じたのは、その思いだけです」

 谷川と藤井は過去に2回対局している。結果はいずれも藤井の勝ちだった。藤井は現在、驚異的なペースで勝ち続け、これまでの将棋界の常識では考えられないような多くの記録を打ち立てている。しかし、藤井自身はそうした記録を意識することがない。

「おそらく藤井さんは、いまは楽しくて仕方がない。彼にとっては勝つことよりも、新しい世界がどんどん見えてくることのほうが楽しいのでしょう」

■詰将棋作品創作も一流

 谷川と藤井は詰将棋を解くスピードが並外れて速い。一方で芸術的な詰将棋作品の創作に関しても、両者一流だ。

「詰将棋を小さいときから解いたり作ったりしていると、それほど手掛けていない棋士に比べて、この形はこの持ち駒があれば詰むとか、この形は詰まないとかを速く読めたり、読まずにすんだりできます。読みのスピードが上がり、他のことにすばやく進めるメリットがある。そういうことが終盤でのひらめき、発見にもつながるんじゃないかな、とは思います」


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