接種後の感染頻度は「0.01%」 それでも“ワクチンブレークスルー”引き起こす変異株の脅威 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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接種後の感染頻度は「0.01%」 それでも“ワクチンブレークスルー”引き起こす変異株の脅威

大岩ゆりAERA#新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの変異株による感染予防のため、外出を控えるよう呼びかける東京都の車 (c)朝日新聞社

新型コロナウイルスの変異株による感染予防のため、外出を控えるよう呼びかける東京都の車 (c)朝日新聞社

 こうした、ワクチン接種を完全に終えた後の感染を「ワクチンブレークスルー」と呼ぶ。

 米疾病対策センター(CDC)には4月26日現在、米国内で発生した9245人のワクチンブレークスルーが報告されている。うち2525人(27%)は無症状だったが、835人(9%)は入院患者で、132人(1%)が亡くなった。ただし入院患者の3割は、新型コロナ感染症の症状がないか、別の病気が理由の入院だった。死亡者のうちの15%は、無症状か別の疾患が原因で亡くなった。

 これはCDCに報告された件数なので、実際のワクチンブレークスルーは無症状の人を含めてもっと多い可能性はある。それでも、この時点で米国では9500万人以上がワクチンの接種を終えていた。ワクチンブレークスルーの発生頻度は0.01%ほどと、まれといえそうだ。

 CDCは、「ワクチンブレークスルーが起こるのはもともと予想されていたことだ」とする。臨床試験(治験)で非常に高い効果を示した米ファイザー社・独ビオンテック社製のワクチンも米モデルナ社製のワクチンも、効果は約95%で、100%ではなかったからだ。少数とは言え、何らかの理由でワクチンを接種しても効果の出ない人がいることは、臨床試験段階でわかっていた。

 ただし、CDCは、

「変異株の中には、ワクチンブレークスルーを起こすものもあるだろう」

 と注意喚起する。冒頭のシンガポールのタントクセン病院でワクチンブレークスルーが起きた9人のうち、最初に感染がわかった看護師を含め少なくとも5人は、インドで見つかった変異株に感染していた。

 CDCは州など自治体の協力も得て、5月14日から詳しいワクチンブレークスルーの調査を始める。入院患者と死亡患者に絞り、どのような人にブレークスルーが起きやすいのか、性別や年齢、持病の有無などを調べると同時に、ワクチンの種類や、ワクチンブレークスルーが起きたウイルスの株の種類なども調べる。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年5月24日号より抜粋


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