ただ、「◎◎◎という料理がおいしかった」ではなく、「高スコアだったから、やっぱりおいしかった」と思ってしまうところが、我ながら恥ずかしい。友人には「グルメな人」と認識されているが、「実は高スコアの店を回っているだけ」とは口にできずにいる。

「確実に面白いものに出合いたい」と言うのは、不動産会社勤務の男性(34)。韓国映画やドラマが好きで、映画・ドラマレビューアプリ「Filmarks」のスコアを参考に、見るものを選んでいる。以前は勘を頼りに掘り出し物の映画やドラマを発見するのも楽しかった。今は新しい映画やドラマ情報がどんどん入ってくる一方で、見られる時間は限られる。「アプリに頼らざるを得ないのも仕方ない」と割り切って利用している。

■本の購入も星の数で

 10歳年上の恋人の行動を冷ややかに見ているのは、東京都内の飲食店で働く女性(32)だ。本好きの恋人はアマゾンの星の数を見て購入本を決める。しかし、見ているレビューには「迅速に届いたので星四つ」や「表紙が折れていたので星一つ」など本の内容とは別のことに触れているものも多々ある。「読んで自分が面白ければいいのだから星を気にするのをやめたら」と言うと、「客観的な評価だから信用できるんだ!」と激怒された。今は何も言わないようにしている。(ライター・羽根田真智)

AERA 2021年5月3日号-5月10日合併号より抜粋