選ぶ投信は、やはり株式が対象の投信。半分は現金として貯めているので、わざわざ債券型やバランス型を選ぶ必要はない。

「子どもが幼い頃はリスクを取って、米国のS&P500や新興国株式などミドルリスク・ミドルリターンなもので運用し、大学進学が近づいたら、より安定的な全世界株式や先進国株式に切り替えるといいでしょう」
 
 といっても、こまめに投信を入れ替える必要はない。最初の10年と残りの8年で少し変えるだけ。横山さんのプランをもとに、18年間、月々2万円をつみたてNISAで運用した場合のシミュレーションすると……? 

 当初10年は、米国株式に連動する投信に70%(毎月1万4000円)、日本を除く全世界株式に20%、新興国株式に10%を投資して、積極的に増やす。
 
 後半の8年は、値動きを多少落ち着かせる。全世界株式に60%(毎月1万2000円)、鉄板の先進国株式と米国株式に20%ずつ振り分け、少しだけ安定運用を。

 過去18年間の運用実績だと、「年間24万円×18年間」の運用で、元本432万円が約2倍の816万円まで増加。試算した18年の間には、世界的に株価が大暴落した2008年のリーマン・ショックの時期も含まれているが、つみたてだからこそこんなに増えたのだ。

「この試算だと、運用で得た利益は384万円。通常の投資だとその約20%の78万円以上は税金で持っていかれる計算になりますが、税金が一切かからないつみたてNISAなら、まるまる384万円が教育費に使えます」

 そうはいっても、大切な子どもの教育費を、リスクのある投資で作るなんて……という人もいるだろう。大事なお金がどう動くのかわからないことに不安があるのもわかる。

「右も左もわからない投資初心者は、数本の投信にまずは100円からの『お試しつみたて』をしてみることをおすすめします」

 と語るのは、マネックス証券マーケティング部の西尾貴仁さん。確かに、実際の値動きが見られたら心強い。5本の投資信託を買っても500円。

「これぐらいの値動きなら不安を感じない」「新聞の経済欄にこういうニュースが出ると、こんな値動きになるのか」など、投信の値動きに慣れるという意味でもいいだろう。「100円つみたて」ができるのはネット証券と大和証券だ。

――続きはアエラ増刊『AERA Money 2021春号』でーー

(取材・文/安住拓哉、編集部・中島晶子、伊藤忍)

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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