世界選手権のフリー演技後、キスアンドクライで得点を聞くブライアン・オーサー(右)と羽生結弦(中)/3月27日、ストックホルム(gettyimages)
世界選手権のフリー演技後、キスアンドクライで得点を聞くブライアン・オーサー(右)と羽生結弦(中)/3月27日、ストックホルム(gettyimages)
世界選手権の公式練習時に、リンクサイドで語り合う羽生結弦とブライアン・オーサー(写真/朝日新聞社)
世界選手権の公式練習時に、リンクサイドで語り合う羽生結弦とブライアン・オーサー(写真/朝日新聞社)

 今季はコーチのブライアン・オーサーの元を離れ、地元仙台で独りで練習をしてきた羽生結弦。2人は世界選手権で再会を果たしたが、それまでどのように練習を続けてきたのか。AERA 2021年4月12日号で、オーサー氏に独占インタビューした。

【写真】リンクサイドで語り合う羽生結弦選手とブライアン・オーサー氏

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──昨年3月に羽生結弦選手(26)が日本に帰国した後、どんなふうに連絡を取り合っていましたか。

 昨季の世界選手権が中止になったと聞いて、僕の生徒たちは誰もが母国に帰りました。あの時は新型コロナウイルスのさまざまなことがわかりませんでしたから、トロントに滞在するのは危険なことでした。チャ・ジュンファン(19)は韓国に、ジェイソン・ブラウン(26)は米国に帰りました。夏の間、結弦とはメールを交わしながら、2020-21シーズンにどう備えるかを話し合いました。

──グランプリ(GP)シリーズは欠場という選択でした。

日本に滞在中なのでNHK杯へ出場するチャンスがあったのですが、彼は望みませんでした。彼自身が喘息持ちだということもありましたが、それ以上に、周りに気を使っていました。自分を見るためにファンが集まり、メディアや関係者も集まり、もしその大会でコロナ感染が起きてしまったら、自分の責任だ、と。もちろん結弦1人の責任ではありませんが、彼が出場すれば大会の象徴的存在になるので、「羽生の試合でパンデミック」と報道されるわけです。リスクを取るべきではないというのが、彼の考えでした。

■練習動画でアドバイス

──オンラインの指導などはしていましたか?

ライブでの指導ではなく、結弦が練習を動画で撮影して、それを送ってくれました。それを見て、私がちょっとしたアドバイスをするという感じです。ジュンファンや金博洋(23)とはZoomでのライブレッスンをしていましたが、結弦の場合は、自分で練習プランも立てられますし、自分でジャンプの修正をしていくこともできます。1週間の波の作り方もすべて熟知しています。なので、何か調子が悪い、何か気になる部分がある、というポイントだけのアドバイスをしていました。

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