Unlimを立ち上げたのは、SNSやスマホゲームを手掛けるミクシィだ。2017年に同社がBリーグの千葉ジェッツふなばしとスポンサー契約を結ぶと、「私も支援してもらえないか」と選手たちからの問い合わせが相次いだ。同社スポーツギフティング部長の武本泰伸さん(45)は言う。

「思った以上に選手たちの競技環境が厳しいことを知り、人と人とのつながりを大事にしてきた企業として、アスリートとファンをつないで応援を形にできないかと考えました」

■絶えず届くメッセージ

 クラウドファンディングのような支援者への返礼のシステムはなく、試合での活躍や掲げたビジョンの実現が応援への対価となる。財団の事務局長の松崎貴宏さん(40)は言う。

「これからは、選手たちがSNSなどで積極的に自分のメッセージを発信していくことも大事になってくると思います」

 寄付の際には、選手にメッセージを送ることができる。前出の西山選手は言う。

「試合以外のタイミングでファンの方から直接応援の声をもらうことがすごくうれしくて。自分の気持ちを奮い立たせてくれるシステムです」

 昨年8月からUnlimを利用する、サーフィンショートボード女子の19年国内グランドチャンピオン、須田那月選手(25)もこう話す。

「コロナで大会もなくなり、活動資金も厳しい中、半年間絶えず届く応援メッセージがすごく励みになっています」

 サーフィンは東京オリンピックで新競技として加わることになったが、まだ認知度も低く、多くのプロサーファーが活動資金集めに苦労している。国内ツアーを転戦するには年間約150万円、海外ツアーなら年間600万円程度の遠征費がかかるが、国内ツアーの優勝賞金は数十万円が相場で、女子は男子よりも低く設定されていて、さらに厳しい。

■コロナで契約が白紙に

 須田選手は海外のツアーに出場するため、19年は日本一にこだわり、目標を達成。だが、年明けからコロナの影響が表れ、途中まで進んでいたスポンサー契約の話が白紙になった。

 そんな折、知り合いを通じてUnlimの存在を知った。さっそく登録すると、ファンの一人から「資金集めを頑張っているなら力になりたい」と連絡があり、3カ月ほどUnlimを通して支援を受け、その後、スポンサー契約を結んだ。

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