スポーツギフティングで集まった資金でアイスリンクを貸し切り開催された練習会。西山選手は「支援をしっかり活用したい」(写真:西山さん提供)
スポーツギフティングで集まった資金でアイスリンクを貸し切り開催された練習会。西山選手は「支援をしっかり活用したい」(写真:西山さん提供)
プロサーファー 須田那月選手(25)/1995年生まれ、種子島在住。11歳でサーフィンを始め、15歳でプロに。2019年国内グランドチャンピオン(写真:須田さん提供)
プロサーファー 須田那月選手(25)/1995年生まれ、種子島在住。11歳でサーフィンを始め、15歳でプロに。2019年国内グランドチャンピオン(写真:須田さん提供)
プロサーファー 須田那月選手(25)/1995年生まれ、種子島在住。11歳でサーフィンを始め、15歳でプロに。2019年国内グランドチャンピオン(写真:須田さん提供)
プロサーファー 須田那月選手(25)/1995年生まれ、種子島在住。11歳でサーフィンを始め、15歳でプロに。2019年国内グランドチャンピオン(写真:須田さん提供)

 コロナ禍で、スポーツの試合の中止や観戦の制限により好きな選手に声援を送りにくい。ファンが選手の活動やビジョンを支える新たな応援の形に、いま注目が集まっている。AERA 2021年4月12日号で取り上げた。

【写真】プロサーファー須田那月選手も「スポーツギフティング」Unlimを利用

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 都内のアイスリンクに昨年12月のある晩、10代のフィギュアスケート選手が集まった。全日本ジュニア選手権アイスダンスで2連覇している西山真瑚選手(19)が呼び掛けた練習会だ。アイスダンスはリンクを広く使うことなどの理由から、練習の際にはリンクを貸し切らなければならず、都内のリンクは1時間3、4万円かかる。全国的にアイスリンクが不足し、予約を取るのも難しい。

「参加したみんながとても感謝してくれて、それだけ練習場所に困っているんだと思いました。アイスダンスを日本でメジャー競技にするためにも貸し切りの機会を作りたい」(西山選手)

 貸し切り練習会の費用は、ファンがアスリートに直接金銭的支援ができる「スポーツギフティング」で集めたものだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、ファンは会場で熱狂を共有できなくなった。スポンサー離れも進み、アスリートは逆境に立たされている。そうしたなか、ファンとアスリートが新たな関係を築き始めている。

■低額から気軽に寄付

 アスリートフラッグ財団が運営するスポーツギフティングサービス「Unlim(アンリム)」はホームページを開くと、スキージャンプの高梨沙羅選手(24)やバドミントンの奥原希望選手(26)ら150以上の選手やチームの写真がずらりと並ぶ。

 応援の方法は簡単で、選手を選び、贈りたい応援ポイント数を選択。1ポイント1円分で、10ポイントから寄付できる。集まった寄付金額の67~83%が選手、チームに贈られ、残りは公益性のあるスポーツ振興団体や財団の運営費などに配分される。

 自らの活動資金への支援を呼び掛けている選手が多いが、「(コロナで大会が中止された)中高生の活躍の場、育成の場を提供したい」(奥原選手)、「女子スキージャンプの環境整備等に活用したい」(高梨選手)といったように、スポーツ振興や社会貢献などのビジョンを掲げ、そのための資金を呼び掛けている選手も目立つ。

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