ファッションは洋服だけでなくトータルバランスで追求したいという人が増えています」

 そう語るのはファッション誌「メンズノンノ」の美容担当・宮?茜さん。投票でベストコスメを選ぶ「メンズノンノ美容大賞」は昨年6回目を迎え毎回1500人ほどが選考に参加するなど、美容情報へのニーズは高い。

 ネイルは専属モデルがブログで紹介したり、撮影で使うときは、本人たちも楽しんで塗っていたりするそうだ。

 宮崎さんによれば最近メンズファッションの世界ではパールネックレスを取り入れるのが流行っているという。

「これは男性の装飾品ではない、と決めつける考え方や垣根は若い世代を中心に崩れてきている。その一つとしてネイルもあるように思います」

■背中押した「大義名分」

 さて、当の上栗デスク。実は元々かわいいものが大好き。念願のネイルデビューを果たしてみたら、すっかりハマってサロンでプロによる施術も試したくなったらしい。自らネイル大手の「スパネイル」を訪ね、「もっとかわいくしたい」という思いを存分に叶えてきた。

 高校1年の娘や恋人、友人、同僚らから「かわいい!」と好評だそうで、否定的なとらえ方は一度もされていないという。

 ヒマさえあれば爪をじーっと見てニンマリし「手を見るたびに気分が上がる。またやりたい」とご満悦の様子だが、これまでは「取材先などから『変わった人だ』と思われるのが怖くて踏み切れなかった」という。はじめの一歩を踏み出すのに、「取材だから」の口実が背中を押したのは間違いない。

「メイクやネイルをするのに、男性は大義名分があるとやりやすいんです」と前出のHIROKIさん。

 やってみたいんだけど……と躊躇している人は「アエラに流行ってるって書いてあったから」を口実に使ってみてください。(編集部・高橋有紀)

AERA 2021年4月5日号