最近になって名刺交換の際などに「健康的な爪の色でいいね」と言われることも増えて、また風向きが変わったと感じている。

「地の爪のままでいるのは眉を描かないのと同じぐらい恥ずかしい」という河西さんだが「人に見せるためのネイル」とは少し意識が違うという。

「ネイルをすると指先から頭のてっぺんまで神経が行き届いた感じがする。いろんなことに意識が向いて、頭の回転が速くなる気がします」

■性別の垣根崩れてきた

 さて、いざ「初めてのネイル」にトライするとき、何から始めればいいのか。

 以前からネイル願望を持っていたアエラの上栗崇デスク(45)と訪ねたのは、前出の河西さんも愛用するジェンダーレスなコスメブランド「FIVEISM×THREE(ファイブイズムバイスリー)」。オフィシャルメイクアップアーティストのHIROKIさんにセルフネイル術を教えていただく。

 クラシックカーからインスピレーションを受けたという15色から上栗デスクが選んだのは、愛車のMINIと同じ緑系。

「男性でも塗りやすいように筆は少し大きめに作られています。液をつけたら、瓶の縁で軽くしごくと塗りやすくなりますよ」(HIROKIさん)

 HIROKIさんのオススメは、10本同じ色で揃えるより何色か使ったり、3本だけ塗ったりと自由に楽しむやり方だ。

「塗らない指にはリングを合わせたり、あえてムラを作って雑に塗ってライダースジャケットに合わせるとか、武骨な感じを演出するのもいいです」(同)

「甘皮を整えたり、表面をヤスリで削ったりはしなくていいんですか?」と聞くと、

「もちろんやってもらってもいいですが、『きれい』だけがゴールではありません。正解はないのでいろんな表現を楽しんでもらえたら」(同)

 これまでどちらかというと男性のネイルはケアや身だしなみの面で広がりを見せていたが、ネイルの楽しみはそれだけにとどまらない。ファッションを楽しむ一つのツールとしてアクセサリー感覚で使えばいいという。

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