BTSの落選でグラミー賞の選考に疑問 多様化する音楽業界で露呈する“一周遅れ感” (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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BTSの落選でグラミー賞の選考に疑問 多様化する音楽業界で露呈する“一周遅れ感”

佐久間裕美子AERA
BTSは受賞ならなかったが、ソウルからライブパフォーマンスを披露した。メンバーはファンへの感謝を伝えた(gettyimages)

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ビヨンセは4賞を獲得し、生涯獲得グラミー数を28に更新した。レコード賞と楽曲賞は逃した(gettyimages)

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ビリー・アイリッシュはレコード賞受賞。ミーガン・ジー・スタリオンに「あなたがもらうべき」と語りかけた(gettyimages)

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テイラー・スウィフトは、3回目のアルバム賞受賞。スティービー・ワンダーらの記録に並んだ(gettyimages)

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 世界的な大ヒットを飛ばしたBTSの受賞なるか──。注目されたグラミー賞の行方は、「受賞ならず」で終わった。多様性や環境変化などに対応しきれていないグラミー賞の限界も垣間見える。AERA2021年3月29日号の記事を紹介する。

【写真】4賞を獲得したのはこの人

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 ロサンゼルスで14日に行われた年に1度のグラミー賞発表。日本のオーディエンスの最大の関心事は、K-POPから初めてのノミネートを果たしたBTSが、「Dynamite」でベストポップデュオ/グループパフォーマンスを受賞するか否かだったのだろうか。同賞がBTSでなく、レディー・ガガとアリアナ・グランデのデュオ曲「レイン・オン・ミー」に与えられた瞬間は、BTSメンバーの反応に注目が集まり、ネットには「おかしい」「やっぱりアジア人だからか」といった失望の声が目立った。拙稿への依頼メールには「いまだにアジア人には高いハードルなのでしょうか?」という疑問が書かれていた。

 主催のザ・レコーディング・アカデミーは、すでに存在していたアカデミー賞に相当する音楽の賞を作るために、1957年に創立された組織である。会員は、ミュージシャン、プロデューサーからエンジニアなどの技術者まで音楽業界に属する職業人だが、白人男性が圧倒的な権力を持つ現実を反映して、グラミー賞の結果にも白人男性バイアスが色濃く出ることは、たびたび批判されてきた。

 今回のグラミー賞の結果には、今のアメリカの世相を構成するいくつものレイヤーが反映されていて、ザ・レコーディング・アカデミーが、韓国生まれのBTSに賞を与えなかったことを「アジア人だから」と片付けられるほど、ことは単純ではない。

■主要4部門が女性

 ザ・レコーディング・アカデミーは、これまでR&Bやヒップホップといった非白人文化から出てきた音楽ジャンルを取り込むためにカテゴリーを再編成したり、賞の外で行われる教育プログラムなどを通じて多様性の欠如を解消しようとしたり、批判に応える姿勢も見せてはいるが、特に、昨年のブラック・ライブズ・マター(BLM)運動の再燃以降初めての授賞式となった今年は、これまで批判されてきた黒人軽視をどう是正するのかも注目されていた。

 もうひとつ、大きな問題にジェンダーギャップがあった。賃金格差やジェンダー不均衡など、構造的な性差別に対する批判が高まっていた2018年、トップの賞の受賞者が圧倒的に男性に偏ったことを批判され、当時の会長ニール・ポートナウが「女性がさらに努力すれば歓迎される」と発言して総スカンを食らい(ポートナウはその後、自ら会長職を退いた)、変革を進めてきたという事情もある。


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