イラスト:小迎裕美子
イラスト:小迎裕美子

 音声SNS「Clubhouse」の流行から音声メディア全体が注目され始めている。ユーザーに支持される背景には何があるのか。AERA 2021年3月22日号から。

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 昭和のティーンが夢中になった娯楽といえば、一家にひとつしかない家電(いえでん)を占領して親に叱られる長電話と、ラジオの深夜放送。そんな音声を使ったコミュニケーションの人気が、爆発している。

 きっかけは、言わずと知れたClubhouse(クラブハウス)という音声SNSだ。このブームが、ポッドキャストや音声配信など、ほかのさまざまな音声系メディアの人気を刺激。大手の音声SNSへの本格参入も噂され、音声回りのサービスが一気に騒がしくなってきた。

■新しい遊び方を探す

 その音声メディアという新世界を探訪する前に、台風の目になっているクラブハウスについておさらいしておこう。こちら、音声だけでやりとりするSNSだが、すべてが一期一会の生放送というところが特徴。既存のSNSのようにあとから内容を検索したり、聞き返したりが簡単にできないという面倒くささもある。そんなクラブハウスが大ブームになった背景を、スマホジャーナリストの石川温さんは、こう見る。

「別の作業をしながら、“ながら聞き”ができることは、昔から音声コンテンツの強み。古くはトラックドライバーが運転しながら楽しむ無線のコミュニケーションやポッドキャストなど、需要はありました。今回そこに、コロナでおしゃべりに飢えている人などが大挙して参入し、ブームが生まれた」

 この“新大陸”が発見されてまだ2カ月足らず。「整理されていない広大な空き地が出現して、みんなで新しい遊び方を探していた」(石川さん)時代は、そろそろ終わり、使い方も整理されてきたようだ。

 今、クラブハウスを巡回してみて目立つのは、大きく三つの種類のルーム。まずは「おしゃべり不足」を解消するひまつぶし系チャット部屋だ。さまざまな職業の同業者が集まるルームから、ラーメンや鉄道など趣味の雑談部屋など、雑談のルームは日々細分化が進んでいる。

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