こうした見方は、公立中高一貫校の先生にも通じるようだ。前出の洛北高校の山教諭は、

「共通テストで有利にはたらくほど、適性検査の影響はない」

 と選抜方式による直接的な影響は否定しながらも、

「本校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、課題研究もやっています。エビデンスはありませんが、勉強以外に夢中になって取り組んでいるものがある生徒のほうが有利だったと感じます」

 桜修館の真柴教諭も、前半3年間での独自の取り組みが今回の共通テストにプラスにはたらいたと分析している。

「どの教科でも文章量が多く、問題文をもとに考えて解く内容になっていたと思います。本校では中学校にあたる前期課程で、独自教科『国語で論理を学ぶ』『数学で論理を学ぶ』を設定しており、読解や記述が得意です。それが今回の試験で強みになったと感じます」

 多くの受験生にとって、共通テストは大学受験のゴールではなく、通過点にすぎない。思考力、判断力、表現力は、むしろ各大学の個別試験でこそ問われるといえそうだ。

(文/朝日新聞EduA編集長・市川裕一、教育ライター・柿崎明子)

※AERA 2021年3月8日号から。
(本記事は教育情報サイト「朝日新聞EduA」と同時配信しています)