北朝鮮の人事から読み解く対米関係 「強面」昇進が意味するメッセージとは (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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北朝鮮の人事から読み解く対米関係 「強面」昇進が意味するメッセージとは

牧野愛博AERA
米韓合同軍事演習で、対化学兵器防護訓練を行う韓国軍兵士ら/2017年8月21日、ソウル郊外の仁川空港(写真:東亜日報提供)

米韓合同軍事演習で、対化学兵器防護訓練を行う韓国軍兵士ら/2017年8月21日、ソウル郊外の仁川空港(写真:東亜日報提供)

南北高位級協議で共同報道文を読む李善権・祖国平和統一委員会委員長/2018年1月9日、板門店(写真:東亜日報提供)

南北高位級協議で共同報道文を読む李善権・祖国平和統一委員会委員長/2018年1月9日、板門店(写真:東亜日報提供)

 北朝鮮の李善権(リソングォン)外相が政治局員に昇進した。李氏の経歴からすると破格の厚遇だという。2021年3月1日号では、李氏の昇進に込めた北朝鮮の意図を読み解く。

【写真】南北高位級協議で共同報道文を読む李善権・祖国平和統一委員会委員長

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 朝鮮労働党中央委員会総会が8~11日に平壌で開かれた。わずか1カ月前の党大会で決まった国家経済発展5カ年計画の目標が見直され、党経済部長が更迭された。制裁や新型コロナウイルス問題で経済が混乱している様子が浮き彫りになった。そんな中、目を引いたのが、「強硬派」に位置づけられる李善権(リソングォン)外相の昇進だった。

■破格の厚遇で政治局員

 李氏は今回、党政治局員候補から政治局員に昇進。政治局員は20人足らずのメンバーで構成される政治エリートだ。政治局員だった金頭日(キムドゥイル)党経済部長が更迭され、空席ポストに滑り込んだとも言えるが、李氏の経歴を考えると破格の厚遇と言える。

 李氏は元々、板門店での南北将官級軍事会談の北朝鮮代表で、2010年3月に軍大佐に昇進した。南北協議を担当する祖国平和統一委員長を経て、20年1月に外相に就任。北朝鮮では通常、閣僚に就任する軍人の階級は大将クラスがほとんど。同じ政治局員の金正官(キムジョングァン)国防相は軍大将だ。金氏は07年に軍少将に昇進している。

 李氏が昇進に値する活躍をしてきたわけでもない。李氏は祖国平和統一委員長時代、韓国と協議を重ねたが、思うような経済支援を得られなかった。外交官経験があるわけでもなく、外相就任後も伝えられるのは、海外の友好国に祝電を送ったなど形式的な仕事ばかりだ。

 そんな李氏が唯一目立ってきたのが、米国や韓国に対する「強面(こわもて)」を意識した振る舞いだ。18年9月、平壌で開かれた南北首脳会談。同行したサムスン電子の李在鎔(イジェヨン)副会長らが玉流館で食事をしている姿を見かけた李氏は、「冷麺が喉を通るのか」と言い放った。南北経済協力も進まないなか、「どの面さげてやってきたのか」という意味だった。


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