話し出すと止まらないという同教授は予定の5回で終わらず「補講」まで開いた。

「『人生で初めて補講があると聞いて嬉しかった』なんて言ってくれる人もいました(笑)。ネットにあるような3分で読める安くて早いカップラーメン的な情報に対して、こちらは1時間×5、6回のガチの講義です。でもそこに潜在的なニーズがあることを確信しました」(同)

 前回、教授陣が一様に驚いたのは、質問の多さだった。公開の場で質問を躊躇する傾向が強いと言われる日本人。しかし、チャットというツールがあれば話は別で、しかも質問の質が高いことがわかったという。倫理学の授業では、千本ノックさながらの驚異的なスピードと丁寧さで答えていく児玉准教授の姿も圧巻だと話題になった。 

 一方的に教授の話を受講生が聞くのではなく、チャットを通じた双方向のコミュニケーションの中から新たな知が立ち上がっていく──。昨年の取り組みから感じ取った「21世紀型の新しい教養」の可能性を、2月7日から3月21日までのシーズン2ではさらに追求したいと出口教授らは意気込む。

 応用哲学や倫理学に加え、前回シーズンにはなかった社会学や文化遺産学、美術史や美学にまで分野の幅を広げたという。もちろん、それぞれの分野に、現在進行形のコロナパンデミックを掛け合わせて、思考を深めていく手法は変わらない。

「立ち止まって、考える」の授業の一部は今年の8、9月頃に書籍化を予定。YouTubeライブの映像に英語字幕をつける作業も進められている。
(編集部 石臥薫子)

「立ち止まって、考える」第2弾
講義期間:2月7日(日)~3月21日(日)毎週土・日曜に開講
講義時間:各日2回、各1時間(11:00~12:00, 14:00~15:00)