市川染五郎の挑戦の軌跡 20年は「忘れられない1年」「沈んだ気持ち吹き飛ばしたい」 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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市川染五郎の挑戦の軌跡 20年は「忘れられない1年」「沈んだ気持ち吹き飛ばしたい」

坂口さゆりAERA#歌舞伎
市川染五郎(いちかわ・そめごろう)/2005年生まれ。七代目市川染五郎の長男。07年6月、歌舞伎座「侠客春雨傘」で初お目見え(写真:遠崎智宏)

市川染五郎(いちかわ・そめごろう)/2005年生まれ。七代目市川染五郎の長男。07年6月、歌舞伎座「侠客春雨傘」で初お目見え(写真:遠崎智宏)

 歌舞伎座で開催中の「壽 初春大歌舞伎」で、親子孫三代で三つ子を演じている。新型コロナウイルスの影響で制限の多かった昨年は、新しい挑戦が続いた年でもあった。AERA 2021年1月25日号に掲載された記事を紹介する。

【画像】12歳にしてこの色気… AERAの表紙を飾った市川染五郎さん

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 スッと背筋が伸びた立ち姿。伏し目の艶やかさ。八代目市川染五郎の貴公子然とした美しさにつかの間、息をすることも忘れてしまった。

 襲名から3年。染五郎の2021年は東京・歌舞伎座の「壽初春大歌舞伎」から始まった。出演作は歌舞伎三代名作の一つ、「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」の「車引(くるまびき)」。歌舞伎の様式美を堪能できる演目だ。祖父である松本白鸚、父・松本幸四郎と高麗屋(こうらいや)の親子孫で松王丸、梅王丸、桜丸という三つ子を演じる。親子孫が三つ子を演じるのは、これまでにも例がないという。

■自分とは正反対の役

市川染五郎(以下、市川):話をいただいた時はびっくりしました。親子孫で兄弟をやるなんて歌舞伎でしかありえません。しかも、僕が桜丸という大役をやらせていただくのは信じられないと言いますか……。プレッシャーは感じましたが、とにかくありがたいという思いでした。

 もともと高麗屋は荒々しくて豪快な演技を得意とする「荒事」の家ですが、松王丸は特に、高麗屋に縁のあるお役です。それこそ父は幸四郎の襲名の時に演じています。三兄弟がさまざまに見せる見得だったり、派手な衣裳だったり。松王丸の二本隈や梅王丸の筋隈、桜丸のむきみといった隈取だったり、セリフまわしだったりと歌舞伎らしさを楽しんでいただけると思います。

 僕が演じる桜丸は、荒事とは対照的な「和事」と呼ばれる柔らかい役です。お正月の公演なので華やかで、コロナ禍という状況にあって、お客さまの沈んだ気持ちを吹き飛ばすようなエネルギッシュな舞台をお見せしたいと思っています。

——昨年は新型コロナウイルスの影響で公演が困難となる中、幸四郎による構成・演出で初めて歌舞伎がオンラインで配信された。その図夢(ずぅむ)歌舞伎第1弾「忠臣蔵」に続き、年末からは第2弾「弥次喜多」(市川猿之助監督・脚本・演出)がアマゾンプライムビデオで独占レンタル配信中だ。


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