コロナで鮮明になった中国の脅威 「制御する態勢が必要」エマニュエル・トッド氏が指摘 (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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コロナで鮮明になった中国の脅威 「制御する態勢が必要」エマニュエル・トッド氏が指摘

大野博人AERA
Emmanuel Todd/1951年生まれ。政治や社会を、家族構造や識字率などを踏まえた独自の視点で分析。ソ連崩壊やトランプ氏当選などを予見。著書に『グローバリズム以後』など (c)朝日新聞社

Emmanuel Todd/1951年生まれ。政治や社会を、家族構造や識字率などを踏まえた独自の視点で分析。ソ連崩壊やトランプ氏当選などを予見。著書に『グローバリズム以後』など (c)朝日新聞社

大野博人(おおの・ひろひと)/1955年生まれ。朝日新聞でジャカルタ、パリ、ロンドンの特派員や論説主幹を歴任。コラム「日曜に想う」を執筆した。昨春に退社後は長野県に移住 (c)朝日新聞社

大野博人(おおの・ひろひと)/1955年生まれ。朝日新聞でジャカルタ、パリ、ロンドンの特派員や論説主幹を歴任。コラム「日曜に想う」を執筆した。昨春に退社後は長野県に移住 (c)朝日新聞社

 バイデン新政権のスタートを目前に、トランプ氏に攻撃されてきたエリートたちは変わったか。コロナ禍で見えた中国の脅威とは何か。AERA 2021年1月18日号でトッド氏が語った。

【ジャーナリスト 大野博人さんの写真はこちら】

*  *  *
大野博人:社会の分断が各地で深刻化しています。米国のトランプ氏は国民を統合する指導者の役割を放棄して、分断し続けたように見えました。

エマニュエル・トッド:ちがうと思います。もしトランプ氏がもっと礼儀正しくふるまい、その経済政策がまっとうなものだと人びとに認められれば、むしろ米国社会を統合するのに役立ったでしょう。

 米国社会を分断し解体する脅威はどこにあるか。それは自らを少数者(マイノリティー)たちの政党と定義する民主党の政治の中に見ることができます。

 そこで示されているのは、高学歴で高収入の寡頭支配層の人たち、高等教育は受けたけれど貧しい白人の若者たち、そして黒人、ヒスパニック系、アジア系の大集団などが集まった米国です。これでは統合された社会像になっていません。

 もっとも、こんなきつい言い方をしてはいますが、もし私が米国人ならあきらかに民主党左派の支持者です。サンダース派になっていたでしょうけどね。

■特権層の反省なかった

大野:トランプ氏も意見が一致しない人、官僚やジャーナリストなどを敵と見なしていました。

トッド:あなたが言うジャーナリストや官僚は、米国のエスタブリッシュメントです。申し訳ないけど、トランプ氏が彼らを憎み嫌うのには理由があります。

 だって、彼の大統領就任以来、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙は批判するばかり。だからトランプ氏もその記者たちを嫌うようになった。これは自然な感情でしょう。

 エスタブリッシュメントを攻撃したからといって、米国社会を分断することにはなりません。彼らこそ大統領から攻撃されて自らを振り返ったでしょうか。振り返らなかった。それが悲劇なのです。今の米国に必要なのは、ほんとうに賢明なエスタブリッシュメントです。


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