「何が出てくるかわからないワクワク、ドキドキがガチャガチャの魅力です。それが50年以上、人々を引きつけてきた理由でしょう」(ワッキーさん)

 今回、ワッキーさんのコレクションを並べ年表を作ると、ガチャガチャの歩んだ時代と進化が映し出された。創生期の60年代、子どもたちの人気を呼んだのは、アゴを動かすと目玉が飛び出す「ガイコツ」だ。1回10円だったが、「ガイコツ欲しさに3千円も使った子どもがいる」と、アサヒグラフ66年1月28日号が当時の過熱ぶりを伝えている。

 70年代後半、大手メーカーのバンダイとコスモスが参入する。ワッキーさんがガチャガチャを始めたのはこのころだ。スーパーカーやウルトラシリーズなどテレビの人気キャラクターが商品化され、「なめ」や6面立体パズルなどの流行モノも次々と景品になった。

 そして83年、累計で1億8千万個を売ったバンダイの「キン肉マン消しゴム」が登場し、第1次ブームを引き起こす。

「お店の人がいくら補充しても、販売機がすぐ空になるほどの凄まじさでした。ガチャガチャが、一般化するのを肌で感じました」(ワッキーさん)

■「悪かろう」からの進化

 多くの子どもは、思春期にさしかかるとガチャガチャから卒業したが、ワッキーさんの収集は今なお続いている。それほどまでに魅了された理由は何か。

「昔のガチャガチャは当たりが出ても、粗悪品やいい加減なものが多かった。カプセルから出しても曲がったままのものなどもあって、お風呂の湯で伸ばしたりしました。ダメな子ほどかわいいと言いますが、ツッコミどころ満載なところが愛着となりました」(ワッキーさん)

 流行をたちどころに商品化する、カプセルトイビジネスは良くも悪くも「何でもあり」の世界だった。80年代半ば、ロッテのビックリマンチョコのおまけシールが人気を呼ぶと、「ロッテ」を「ロッチ」と書き換えたニセシールが大量に出回る。ロッテが訴訟を起こすと、メーカーは敗訴。次第に著作権管理も徹底されていく。

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