大洗町で19年11月に開かれた「あんこう祭」
大洗町で19年11月に開かれた「あんこう祭」
大洗マリンタワーにある「ガルパン喫茶 Panzer Vor」の店内。今年3月、同アニメの「最終章」第3話が劇場上映される
大洗マリンタワーにある「ガルパン喫茶 Panzer Vor」の店内。今年3月、同アニメの「最終章」第3話が劇場上映される

 茨城県大洗町が舞台のアニメ「ガールズ&パンツァー」は、“ガルパンさん”と呼ばれるファンダムから熱烈に愛されている。作中に登場する場所を訪れる舞台めぐりを通して、大洗町に移住したファンもいる。AERA 2021年1月11日号は「ファンダム」を特集。

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 今やファンたちは、好きな対象から情報を受け取るだけの存在ではない。その行動が、好きな対象の価値を左右し、経済をも動かすと言える。

 矢野経済研究所が20年12月9日に発表した「『オタク』市場に関する調査」によると、主要分野であるアニメ市場とアイドル市場は16年度から19年度まで順調に伸びていたものの、20年度はコロナ禍で大幅に縮小すると予測されている。有観客ライブが軒並み延期・中止となった20年度のアイドル市場は前年度比42.5%減の1500億円、アニメ市場は13.3%減の2600億円と壊滅的な予測だ。

 一方で、映像配信事業は大きな伸びを示した。コロナ禍で在宅時間が増えたことで、Amazon Prime VideoやNetflixなど動画配信サービスの利用が加速度的に伸びているという。だが、膨大なタイトルの中から見るべきものを選ぶのは容易ではない。その時、一つの指標として重要な役割を果たしているのがSNSだという。同社研究員の片岡一豊さんはこう話す。

「SNSでつながっている人が何をつぶやいているか、どう評価しているか、そういったことに注目しながらファン活動をする方が増えている。SNSの普及によって、コンテンツ側が発信する情報だけでなく、SNS上の身近な個人が発信する情報にも信頼を置く人が増えているんです」

 ファン同士の情報交換が活性化させる現象の一つが、作品の舞台となった町や、作中に登場したスポットに足を運ぶ“舞台めぐり”だ。コスプレやファンアートと並んでアニメファン定番の楽しみ方となっている。

 茨城県大洗町が舞台の「ガールズ&パンツァー」は、町の人たちから“ガルパンさん”と呼ばれるファンダムから熱烈に愛されているアニメ作品だ。12年10月からテレビ放送され、根強いファンが今も増え続けている。

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