民主党が両議席を獲得できれば、50議席プラス、上院議長となるカマラ・ハリス次期副大統領の投票で、ギリギリ過半数となる。過半数を取れなければ、ねじれ議会となり、バイデン政権の政策・法案は、議会を通らずに日の目を見ない。

■民主党内の分断も大

 また、米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ大統領に投票をした70~80%の人が、バイデン氏が公式に勝利したと信じていないという。2008年に大勝したオバマ前大統領よりも500万票近く多い7400万票を今回トランプ氏が得票したという事実は重い。

「私はブルー(民主党の色)でもなく、レッド(共和党の色)でもない、アメリカ合衆国の大統領になる」

 バイデン氏は選挙戦中からそう繰り返してきたが、分断をどう緩和し、統一していくのか。その具体的なアプローチは不透明なままだ。

 政治的イデオロギーの面では、身内の民主党内の「分断」も侮れない。

 民主党の予備選挙中、若者に熱狂的に支持された進歩派のバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員は、バイデン政権で閣僚入りはしない。なぜなら、主要閣僚が就任するのに必要な上院での承認を得るのが難しいからだ。しかし、バイデン氏が8100万票を得て、トランプ氏に約700万票もの差をつけた勝利は、サンダース氏らが主張していた最低賃金の引き上げやヘルスケアの拡大、大学授業料の無料化などを切望する多くの若者たちがもたらしたものだ。

 バイデン陣営はウォーレン上院議員らからも政策面の助言を受け、気候変動問題を担当する大統領特使という新ポストを設け、ジョン・ケリー元国務長官を指名した。外交のプロとして、ホワイトハウスとの連携に通じているケリー氏が、バイデン大統領・ハリス副大統領のラインで、気候変動の「パリ協定」への復帰などを目指す。政治ニュースサイト「Axios」によると、国内の気候変動問題専門のポストも設けるという。これは、環境問題に敏感な若い有権者をハッピーにするためでもある。

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