中国は経済においては資本主義ですからね。そうすると中国共産党は、マルクス主義が持っていたような「人々を解放する」という側面、あるいは毛沢東思想が持っていたその意味における正当性っていうのは、非常に弱くなっているわけですよ。社会の矛盾や問題、あるいは人々の悩みっていうのを、イデオロギーで解決できなくなっています。放置しておくと、昔の太平天国の乱みたいなことが起きる。だから、社会と体制との関係において、ある種折り合いをつける、社会の安定に貢献する宗教は、絶対に必要なんですよね。中国は、宗教が外国の植民地主義の手先になるという危険さを、よくわかっているんです。そこで今、すごく悩んでいると思うんですよ。

澤田:そういう意味で、歴史を学べば学ぶほど、安全な宗教から接触したほうがいいということがわかるわけですね。

佐藤:そういうことです。いま中国のあちこちの大学には、池田思想研究所っていうのが設けられているんです。

澤田:中国にですか。

佐藤:そうです。それは宗教としてではなくて、池田大作氏の思想を研究するというものです。でもその思想は、信仰体系と離れていないわけです。当然のことですよね。日本の中において創価学会は、天皇制とぶつかる形でスタートしたんだけれども、今は与党側に入っている。ということは、体制とぶつからない道を探れるということです。中国においても、「共産党体制とぶつからない形での宗教」を探るということからすると、中国は創価学会に非常に関心があると思うんですよね。

澤田:面白いですね。

佐藤:今後も池田氏と創価学会に関心を持ち続けたいと思っています。

(構成/編集部・木村恵子)

AERA 2020年11月23日号より抜粋