ニューヨーク市では投開票日の翌日4日に、人権運動の「ブラック・ライブズ・マター(BLM、黒人の命は大切だ)」や、2011年の若者による反格差運動「オキュパイ・ウォール・ストリート」などによる多くのデモが予定されている。トランプ氏が敗北を認めなかった場合、先回りして抗議する狙いだ。

 新型コロナに加え、政治的イデオロギーの「分断」で、大統領選挙は、かつてない混乱の舞台となった。トランプ氏が勝てば、リベラル派の抗議デモがあり、バイデン氏が勝てば、「不正」だとする右派のデモは避けられない。どちらが勝っても21年以降、新型コロナと社会的不安が長期間ついてまわる。

 こうした混乱の原因が、トランプ氏、オバマ前大統領、そしてそれ以前の大統領時代から解決されてこなかった米国民の間の格差や葛藤(かっとう)にあるという問題は、見過ごされたままだ。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)

AERA 2020年11月9日号より抜粋