2つ目は、生地がひとまとめになるまでは、手を使わないこと。

 子どもは手を使った作業が好きだから、つい最初から手が出がちですが、生地がまとまる前に触ってしまうと、指と指の間に生地がベトベト張り付いて、取るのに一苦労。だから始めのうちはスプーンで混ぜましょう。ボウルの中をぐるぐるしているうちに、生地がだんだんまとまってきます。そうしたら、シリコンマットやまな板の上に軽く打ち粉をして、そこに生地を出してこね始めてください。

 3つ目は、生地を子どもの分、親の分と分けて、それぞれが好きに形をつくること。子どもは、粘土細工をするように好きな形を作ります。成形は親にとっても楽しい時間なので、子どもとはまた違う、好きな形を作ってみましょう。

 私は、以前はよく娘のお友達が遊びに来る前にパン生地を1次発酵まで仕上げておき、生地の成形を楽しんでもらいました。「お花」「ママのお顔」「うさぎさん」など、思い思いの形を作ってくれましたが、粘土遊びよりさらに楽しいのは、作ったあと食べられること。

 ここでご紹介したのは基本の生地なので、ウィンナーやチーズ、コーンを入れておかずパンにしたり、シナモンシュガーやチョコチップを加えて甘いパンにしたり、仕上げにごまを振ってバンズにしたり、生地にココアを少量混ぜて茶色い生地を作ってみたり……と、アレンジは自由自在です。

 お子さんと一緒に、ぜひ挑戦してみてください。

【材料】
強力粉……300g
米油……30g
塩……小さじ2分の1(3g)
砂糖……大さじ4(36g)
ドライイースト……小さじ2(6g)
ゆるま湯……160CC

【作り方】
(1)ボウルに強力粉を敷き詰めるように入れる。米油と塩を入れ、そこから離れた場所に砂糖を入れ、砂糖の中にドライイーストを入れる(イラスト参照)。砂糖とドライイーストにかかるようにぬるま湯を入れ、スプーンで3分ほどこねる。ある程度まとまったら、今度は手で表面が滑らかになるまで5~10分ほどこねる。  

(2)(1)を一次発酵させる。ひとまとめにしてボウルに入れ、冬場は40分ほど、夏場は25分ほど置く。生地の中央に指を入れて抜き、すぐに生地が戻ってこないようであれば1次発酵終了の合図。  
                                                     
(3)生地を6等分して、成形する。丸パンを作る場合は生地を引っ張りながら丸い形を作り、綴じ目が下になるようにする。子どもはそれぞれ好きな形を楽しもう。

(4)(3)をクッキングシートを敷いた天板の上に間隔を空けて置き、ふんわりとラップをかけて2次発酵をさせる。冬場は30分、夏場は20分ほど置く。      
                                
(5)180度に予熱したオーブンの下段で表面に焼き色がつくまで17分ほど焼く。
                                                 
(文/武田昌美)

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武田昌美

武田昌美

武田昌美(たけだ・まさみ)/リトルシェフクッキング株式会社代表取締役、子ども料理研究家。料理を通じて子どもの才能を開花させ、挑戦する勇気・失敗への前向きな姿勢を養うことを目的とする料理教室「リトルシェフクッキング」を経営。2歳から19歳まで、のべ2000人以上の子どもに料理の楽しさを教えている。https://little-chef-cooking.com

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