「現金は絶対に、どこででも使えます。何かのときに必要になることがありうるので、必ず一定額をポケットに入れています。そういえば先日、社内をひと回りしたら、社員の結婚祝いを頼まれたり外国人従業員の通信販売の代引き料金を立て替えさせられたり。10万円あった現金が10分ほどですっからかんになりました(笑)。クレジットカードや電子マネーでの支払いが続き、ポケットに入っている5万円がずっとステイしていることもあれば、こんな感じですぐに出ていくこともあります」

■松本さん個人の資産運用は?

「最近、自分の資産運用に関しては2つの変化がありました。ひとつは私たちが立ち上げた投資信託(以下、投信)『マネックス・アクティビスト・ファンド』を、個人資産で相当な金額分を買ったこと」

 このファンドはアクティビスト(モノ言う株主)として個人も企業に意見できる、新しいタイプの投信だ。投資先企業と対話し、株主価値の増大や経営の効率化に関して積極的に働きかける。成功すれば投信を持つ個人にも、株価を上げた企業にもメリットになる。

 「個人のための証券会社」を創業時からの理念とする松本さんの発案で作られた投信だ。私財を投じたのは、アクティビスト・ファンドへの期待が本気であることを形で示すためだろう。

「もうひとつは、投資のおもしろさを自分が再認識していること」。

 コロナ禍で株価が下がったままの企業もあれば、コロナ前の高値を上回り、勢いが止まらない企業もある。新規株式公開(IPO)を目指すスタートアップ企業も明暗がはっきり分かれている。

「新入社員のころを除けば私はこれまで『無借金人生』でしたが、今回は人生で初めてお金を借りてまで投資しています」

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借金までして投資した理由は?