その理由は日銀や米連邦準備制度理事会(FRB)などのコロナ対策を見たから。

「世界の中央銀行が『超大型量的緩和』を実施しています。市場に十分なお金が回ると、株式や不動産などは値上がりするものです。世界中で大量のお札が刷られても富の量は一定。そこに大量の資金供給が実施されると、株式や不動産に割り当てられるお金が増え、値段が上がると考えています」

 先日、銀座の百貨店の呉服売り場に行き、女性の反物が安くなっていて驚いたという。

「夏祭りが中止になって在庫が積み上がり、投げ売りしていたようです。反物と帯のセットが仕立て付きで10万円。定価で45万円、セールでも25万円はする高級品がですよ。株価がスルスルと上がる一方で、高級品が値下がりする。こうした現象の背景を探るのはとても興味深いことです。自粛解除後に郊外型ショッピングモールの『ららぽーと』は一気に客足が戻りましたが、銀座の高級ブランド店はさっぱり。明暗を分けた理由は近隣に住宅街があるかどうかでしょう。コロナ禍であっても、影響は企業によって全く違った形で表れます。日ごろからその理由を考えることは投資にも役立つはずです」

(構成/大場宏明、編集部・中島晶子、伊藤忍)

※アエラ増刊『AERA Money 今さら聞けない投資信託の基本』の記事に加筆・再構成

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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