撮影/ジョナサン・トーゴヴニク
撮影/ジョナサン・トーゴヴニク
撮影/ジョナサン・トーゴヴニク
撮影/ジョナサン・トーゴヴニク
撮影/ジョナサン・トーゴヴニク
撮影/ジョナサン・トーゴヴニク
撮影/ジョナサン・トーゴヴニク
撮影/ジョナサン・トーゴヴニク

 虐殺のさなかの性暴力から、生まれたいのちがある。1994年に起きたルワンダのジェノサイド(大量虐殺)から四半世紀。母子の語りと写真が本になった。AERA 2020年10月12日号では、ルワンダの母子16組の2006年と18年のインタビューと写真を収めた『あれから──ルワンダ ジェノサイドから生まれて』を紹介する。

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『あれから──ルワンダ ジェノサイドから生まれて』という本がこの夏、赤々舎から刊行された。表紙は、ジャスティーンとアリスの母娘。まっすぐにこちらを見ている。

 大学生になったアリスは、本書でこんなふうに話している。

「私はいつも、自分の父親が誰なのか、自分がどうやって生まれたのかを母に尋ねてきました。でも母はけっして話してくれませんでした。でもある日、母がカウンセリングのワークショップから帰ってきたので、ぜひ話してと頼んだのです。すると母は口を開きました」

 信頼できる人にだけそっと語るような話が、綴られている。

 写真とインタビューの著者はジョナサン・トーゴヴニク。1969年イスラエル生まれの、男性フォトジャーナリストで、現在は南アフリカで暮らす。

 94年アフリカのルワンダで、大統領暗殺をきっかけに政権側のフツの民兵らが少数派ツチを襲う大虐殺が起きた。ラジオが憎悪を煽った様子は映画「ホテル・ルワンダ」でも描かれている。この虐殺のさなか、たくさんの女性が残忍な性暴力を受けて、出産した。

 著者は、2006年にエイズの取材でルワンダを訪れて、その母親の一人に出会い、心を揺さぶられたという。母親の多くが、HIVに感染し、「人殺しの子」を育てるのかと親族からも疎まれていた。著者はそれから3年ルワンダに通って母たちの話に耳を傾け、母子のポートレートと共に本にして世界に伝えた。これが1冊目で、今作『あれから』が2冊目になる。

『あれから』は、母子のその後を再取材したものだ。母子16組の2018年のインタビューと写真、前作の写真を収めた。

 十数年の変化は、写真では一目瞭然だ。前作で小学生くらいだった子どもたちは、20代の大人になった。

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