「史上最強の棋士は?」の議論に決着を付ける時 羽生善治vs大山康晴、時を超えた対決が始まる (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「史上最強の棋士は?」の議論に決着を付ける時 羽生善治vs大山康晴、時を超えた対決が始まる

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松本博文AERA
AERA 2020年10月5日号より

AERA 2020年10月5日号より

 羽生善治九段が獲得した竜王への挑戦権。自身が持つ最年長記録の更新がかかるタイトル戦でもある。大舞台に戻ってきた50歳の羽生九段だからこそ、数々の最年長記録を打ち立てた大山康晴十五世名人を超える可能性が見えてきた。AERA 2020年10月5日号から。

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 1989年度将棋界の一番のトピックは19歳羽生善治の竜王位獲得だった。一方でまた、空前絶後とも思われる大記録が打ち立てられていた。それが大山康晴十五世名人の66歳でのタイトル(棋王位)挑戦である。それも竜王位に就く直前の羽生を下しての快挙だった。

「将棋史上最強の棋士は誰か?」

 その問いを考察する人は、最終的にはほぼ同じテーマに行き着く。つまりは大山と羽生、どちらが強いと言えるのか。その比較だ。

 23年生まれの大山と、70年生まれの羽生。47歳差の両者がそれぞれ過ごした時代はあまりに違いすぎるので、単純な比較はできない。大山は空前の通算1433勝をマークした。そして羽生はすでにその記録を抜いている。ただしもし大山の青年期に戦争がなく、現在のように多くの棋戦が存在していれば、大山の勝数は軽く2千は超えていたという見方もある。

 タイトル獲得期数は大山80、羽生99。もっとも古いタイトル名人位は大山18期、羽生9期。もし大山の全盛期にタイトル戦が七つも八つもあったら、大山はさらに多くのタイトルを獲得していただろう。

 その無敵大山も49歳の時、当時24歳の中原誠に名人位を奪われた。そしてほどなく無冠に追い込まれる。しかし大山が「50歳の新人」を名乗り、巻き返しを見せたところからが大山の真の偉大さを表している。

 大山は50代以降も22回のタイトル戦番勝負に出場し、うち11回制覇。59歳の時には王将戦で中原名人の挑戦を返り討ちにして防衛を達成した。これが現在まで残るタイトル獲得の最年長記録だ。

 早熟の天才羽生はこれまで数々の年少記録を打ち立ててきた。そのうちのいくつかは、藤井聡太によって塗り替えられつつある。一方、羽生は現在、大山が持つ数々の最年長記録を更新できうる立場にある。59歳での戴冠、66歳での挑戦、そして69歳に現役のまま亡くなるまでのA級在期。これらの途方もない記録を更新できる可能性がある棋士は、羽生をおいて他にいないだろう。


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