中心から1千キロ離れた場所で大雨も…台風は「目」だけでなく「面」が重要の理由 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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中心から1千キロ離れた場所で大雨も…台風は「目」だけでなく「面」が重要の理由

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野村昌二AERA
9月上旬、九州を襲った台風10号により鹿児島市内も激しい風雨となった(c)朝日新聞社

9月上旬、九州を襲った台風10号により鹿児島市内も激しい風雨となった(c)朝日新聞社

AERA 2020年9月28日号より

AERA 2020年9月28日号より

 台風12号が本州に接近している。九州全県が暴風域に入った台風10号では、中心から遠く離れた場所でも大雨が降った。台風による被害を決定づけるものはいったい何か。専門家に聞いた。

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*  *  *
 猛烈な雨は、台風の「目」から1千キロも離れた場所で降った。

「台風のルートではなかったので、まさかあれだけの大雨が降るとは。想定していなくて驚きました」

 埼玉県秩父市の危機管理課の職員は振り返る。

 9月6日から7日にかけ、九州西部を通過した台風10号。一時、中心気圧が920ヘクトパスカルまで下がるなど非常に強い勢力に発達し、九州全域に大雨を降らせた。しかし、同じ頃、九州から遠く離れた秩父市でも、激しい雨が降っていたのだ。

 6日午前11時までの24時間に秩父市浦山で降った雨量は236.5ミリ。同市で1日の雨量が200ミリを超えたのは、昨年10月に関東地方を直撃した台風19号以来。先の職員によると、幸い市内では人的被害も物的被害もなかったが、緊張感を強いられたという。

 秩父市の他にも、東京都檜原村や神奈川県相模原市の相模湖でも200ミリを超え、いずれも今年一番の大雨になった。

 台風10号はその後、朝鮮半島に上陸し日本列島から離れたが、近畿や東海地方でも激しい雨を観測し、住宅への浸水被害など爪痕を残した。

■海面水温の上昇が影響

 台風の中心から遠く離れた場所で強い雨が降ったのはなぜか。気象情報会社「ウェザーマップ」に所属する気象予報士の片山由紀子さんは、こう説明する。

「台風もしくは太平洋高気圧による暖かく湿った空気が、太平洋側から流れ込んだのが原因です。このように、台風の中心から遠く離れた場所で、大雨が降ることは珍しくありません」

 しかも今年は、猛暑で日射量も多かったため海面水温が高く、湿った空気の量が多かったと思われるという。

「さらに台風10号では、山沿いを中心に大雨が降りましたが、湿った空気が山にぶつかり上昇気流が強められ、より発達した雨雲ができたからと考えられます」(片山さん)

 静岡大学防災総合センターの牛山素行(もとゆき)教授(災害情報学)はこう話す。

「雨量は、台風の中心に近づくほど増えると一概には言えません」

 牛山教授によれば、気象衛星の写真で台風を見ると、台風の中心に「目」がありその周りに雲が広がっているのがわかるが、この雲すべてが雨を降らせるわけではないという。


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