小児科医で、前述のアンケートを担当する半谷まゆみ研究員は、ストレスを抱える子どもへの対応でまずやってほしいのは「言語化」だという。

「特に小さい子どもは、気持ちをうまく説明できずに、イライラしていることにすら気づいていないこともあります。周囲の大人が話を聞き、気持ちを言葉で表現してあげてください」

 コロナ禍では大人も多くのストレスを抱えていて、それが子どもに向かってしまうこともある。調査結果を見ると、大人が感情的に怒鳴ったり、手を出したりするケースも少なくない。発達障害など特別なケアを必要とする子どものいる家庭では、さらにその傾向が強いという。コロナの影響で障害のある子どもの療育やデイサービスの回数が減り、親の負担が増えていることも背景にあると考えられる。

 受験の見通しが立たず、不安を覚える子どももいる。都内の区立中学3年の男子生徒は、10年近く続ける剣道で高校を選びたいと考えていたが、楽しみにしていた学校公開は軒並み中止になり、志望校がなかなか決まらなかった。今春に受ける予定だった剣道の初段審査は中止になり、推薦で高校に入る算段も狂った。3月から稽古を中断し、フラストレーションはたまるばかりだ。母親(54)はこう話す。

「コロナで進学後や将来をイメージすることが難しくなり、息子は『漠然と不安を感じている』と話します。親はどうフォローしてあげればいいのか」

■感染で非難を恐れる

感染への恐怖を感じている子どもも少なくない。大分県に住む女性会社員(44)の娘が通う中学では、規模を縮小した体育祭を9月に開催する予定だ。だが、一人でも感染者が出たら体育祭も中止になってしまうという。娘は自分が感染する恐怖から、習い事に行く以外はほとんど外出しなくなった。

第2回「コロナ×こどもアンケート」では、「自分や家族がコロナになったら秘密にしたい」と答えた子どもが32%いた。また、「コロナになった人とは、コロナが治ってもあまり一緒には遊びたくない人が多いだろう」と考える子どもは40%もいた。

次のページ