※写真はイメージ (c)朝日新聞社
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AERA 2020年9月14日号より
AERA 2020年9月14日号より
AERA 2020年9月14日号より
AERA 2020年9月14日号より

 新型コロナでステイホームや休校、猛暑のなかマスクをつけての登校、短い夏休み──。子どもたちのストレスはかつてなく高まっている。今後予想される第3、4波を考えると、状況は一層厳しくなりそうだ。子どもたちのストレスを考え、軽減する方策を専門家に聞いた。AERA 2020年9月14日号は「子どもの異変」を特集。

【調査結果】家庭での好ましくない大人の対応とは?

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 新型コロナは子どもたちの生活を大きく変えた。突然の休校で友だちに会えなくなり、楽しみにしていた行事や目標としていた部活の大会、コンクールは中止になった。再開後の学校は授業が詰め込まれ、おしゃべりも制限される。多くの子どもたちが不満や不安を募らせている。

■7割以上がストレス

 国立成育医療研究センターが4月から継続して行っている「コロナ×こどもアンケート」では、7割の子どもが何らかのストレスを抱えていることが判明。4~5月に実施された第1回調査では75%、6~7月の第2回調査でも72%の子どもがストレス反応を示していて、学校再開後も改善は見られなかった。

 同センターこころの診療部の田中恭子医師によると、子どものストレス反応は、気持ちと行動面、体の症状に表れる。年齢が低いほど気持ちを言葉で表現することが難しいため、体の症状や行動面に出やすい。また、親との関係性が変化する思春期も、親に何も言わなくなって突然暴力的になるなど行動上の問題として出やすいという。

「自分でコントロールできないことや見通しの立たないものはストレスの要因になりやすく、コロナ禍ではそうした要因がいくつも重なって、ストレス反応を示す子どもが増えています」

 生活リズムの変化や心のストレスが原因で自律神経のバランスが崩れていて、イライラやだるさが出ることもあり、回復が難しくなっている子どももいる。

■怒り爆発でキック

 埼玉県に住むパート勤務の女性(46)は、小学1年の娘が暴力的になってきたことを心配している。特に長期休校以降、感情のコントロールが難しくなり、ささいなことで怒りを爆発させていた。例えばケーキを半分こしたら、年中の弟と「こっちのほうが大きい」と取り合いになった末、娘は「もういらない!」と言って足で壁をドンッドンッと蹴り始めた。コロナ以前は不満があると部屋の隅に行くぐらいだったが、最近は物に当たり、姉弟げんかもキックやパンチが出るようになった。

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