illustration/細川貂々
illustration/細川貂々
『アタックPTA』の一場面。この4月は、新型コロナの影響でクラス役員選出の延期が相次いでいる(illustration/細川貂々)
『アタックPTA』の一場面。この4月は、新型コロナの影響でクラス役員選出の延期が相次いでいる(illustration/細川貂々)

『ツレがうつになりまして。』など数々の人気コミックエッセーで知られる漫画家の細川貂々さんが、最新刊『アタックPTA』(朝日新聞出版)を上梓。描かれるのは、親たちを悩ませるPTAの実態だ。同書には、3年間、PTA本部役員を務めた細川さんの実体験も反映されているという。AERA 2020年5月18日号では、細川さんにPTAを経験して感じたことなどを聞いた。

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──『アタックPTA』では、PTAをなくしたい会長さんと、これまで通りでいきたい副会長さんの対立が面白かったです。これも実際にあった?

 いえ、そこは本部役員を経験したいろんな人に話を聞いて、「PTAはいらない」という人と「いる」という人の意見を、キャラクター化した感じです。

 私は最初「PTAはなくしたほうがいい」と思っていたんです。すごく理不尽だし、働く親も増えて、やろうと思ってもできない人もいる。役員決めも、毎年すごくもめますよね。

 でも去年の運動会の頃から考えが変わって。保護者が観覧席から子どもの写真を撮るのに脚立を使っていいかどうかでもめたんですよ。私はどっちでもよかったんですが、「使いたい人」対「使いたくない人」ですごい争いが起きてしまった(苦笑)。それで保護者みんなにアンケートを取ったらどうかと会長さんに提案したら、学校は「いちいち保護者の意見を聞いていたらきりがないから、絶対にアンケートは取らない」と。

 それを聞いて「ああ、もしPTAがなくなったら、学校は先生たちの好きなようにされてしまうんだな」と思ったんです。この一件以来、PTAは学校と保護者間のパイプ役のために、ないとダメだなと思うようになりました。

──集団で意見を言うと、個人で言うよりは聞き入れてもらえることもありますね。本部役員をやってみて、よかったですか?

 少なくともPTAとして意見を言えるのはいいと思いました。それがないと、保護者の意見は反映されないなと思って。

 本部役員をやったことは後悔していないです。ドロドロした複雑な人間関係とか、フリーで仕事をしていると普段なかなか見られないので(笑)。役員は交代するので、毎年違った関係を見ることができますし。

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