新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大きく変化を迫られている学びの現場。学校では、家庭ではどんな対応をしているのか、AERA with Kids編集部が継続的にリポートしていきます。

 今、教育現場でささやかれているのが、「休校後、不登校の子どもが増えてしまうのではないか」ということです。もしわが子が不登校になってしまったらどうすればいいのか、不登校の子を伸ばすにはどうしたらいいか、この4月に“不登校専門のオンライン家庭教師”、「イエローシード」を起業した、植木和実さんにお話をうかがいました。

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――――「不登校専門のオンライン家庭教師」の起業までの経緯を教えてください。

 今年の3月まで食品メーカーに在籍していました。いわゆる研究職です。大学、大学院は「分子生物学」を専攻していたので、約20年間、ずっと研究がメインの生活でした。仕事は大好きでしたし、ずっとこの会社でこの仕事をして人生を終えるのだろうな、と思っていましたね。

 しかし、結婚して、娘が生まれたことで状況が変わりました。

 娘はダウン症なのですが、当初は保育園と夫の手を借りながら、仕事と子育ての両立を必死でやってきました。しかし小学校入学を2年後に控えた就学相談で小学1年生の時間割を見て衝撃をうけました。下校時間は、13:30と記載されていたのです。

 ダウン症という彼女の特性を考えると長時間の学童は難しい。必死で放課後デイサービスを探しました。しかし、どこも「ほとんど空きはない」という状況で、『万事休す』の気持ちになりました。

 そこで、思いきって「仕事を変えよう」、と決意したのです。

「家庭で、一人で、娘の就学時間中にできる仕事で、それまでの年収を落とさない仕事」「これからの長い人生を、自分が熱中でき心から楽しめる仕事で、誰かの幸せに直結する仕事」を突き詰めて考えていったとき、この仕事しかない、と行きついたのです。

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AERA編集部
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