小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」3月号では「夢をかなえる お金のレッスン」を特集。その中で取り上げた、お金にまつわる旬のニュースを追ってみよう。
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●パンダとマー君経済効果はどのぐらい?
経済波及効果(経済効果)とは、ある出来事により、国や地域に経済的なプラスがどのくらいあるかを試算して、金額で示したもの。
たとえば上野動物園(東京都)のジャイアントパンダ「シャンシャン」は、2017年6月の誕生から約3年半の間に、約539億円の経済効果をもたらしたと、関西大学の宮本勝浩名誉教授は試算する。入園者数などをもとに、動物園やその周辺での飲食費、グッズ販売などを推計した。昨年6月に生まれた双子のパンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」の経済効果にも期待がかかる。
一方、アメリカの大リーグから昨年8年ぶりに東北楽天ゴールデンイーグルスに戻った田中将大選手(マー君)が宮城県にもたらす経済効果は、年間57億1697万円に上ると宮本教授は試算。選手個人のファンクラブ(1千人を募集)は4時間で完売。関連グッズも大盛況で、チケット販売も好調だという。「田中選手の推定年俸9億円はけっして高くない」と宮本教授。
ニュースで「経済効果」という言葉が出たら書きとめて、ほかの例と比較すると、「世の中のしくみ」が見えてくるかもしれない。
●電車賃が時間帯で変わるようになる?
モノの値段は、買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスで決まる。たとえばクリスマスイブのケーキは、買いたい人がたくさんいるので高く売れるが、翌日にケーキを買う人は少なく、値が下がる。
この考えを応用して、電車が混雑する時間帯の運賃を高くし、すいている日中の運賃を安くして乗客を分散させることを、JR東日本と西日本が検討している。変動料金制は航空機や高速バスでは普及しているが、鉄道では導入が見送られてきた。採用されれば混雑時に多く配置している車両や人員を減らし、経費を削減できる。
花き業界では、コロナ禍の広がる2020年春から2年連続で、「5月は『母の月』」というキャンペーンを行っている。毎年5月第2日曜の「母の日」だけでなく、5月全体を「母の月」にすることで、母の日に集中するカーネーションの需要の“山"をゆるやかにし、より長く、より多く買ってもらうのがねらいだ。店頭の混雑が避けられるし、物流業者の負担も減らせる。賛同する人が増えれば、5月いっぱい花の価値が下がらないので、廃棄される花(フラワーロス)も減らせる。
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