実は大学のあと一度社会人になってから大学院に行ったのですが、その13年間、ずっと家庭教師をやっていたんです。もともと教えることは大好きでしたのでやりがいは感じていました。
大学院時代には土日に常時9人の家庭教師を受け持っていたのですが、その中には不登校の中学生が6人いました。皆、短期間で成績が上がり、高校受験に合格し、大学に進み、現在はそれぞれの道で幸せになっています。その体験は大きな自信になり、私はそれが普通であると認識してしまっていました。一方で、娘の療育で教育センターなどにも通うことも増え、不登校生徒のご家族とも知り合う機会があり、親子ともども苦しんでいる姿を見て、衝撃を受けました。
不登校の子を教えることは自分の仕事時間にもマッチしました。また、オンラインなら教える地域に制限がなく、私が育った田舎のように頼れる教育施設が少ない地域の生徒にも届けることができる。一つ一つのご家庭ごとの事情や、一人一人の生徒にオンラインで密に寄り添い、総合的なサポートがしたい。そう思い、1年半の準備期間をへて、「不登校専門のオンライン家庭教師」に絞り込んだのです。
――――対象を中学の不登校児に絞った理由は?
中3までは義務教育なので、学校を休みがちでも途中で退学させられることはありませんが、それ以降は自分で生きる世界を決めていかなければなりません。下手をすると「中3まで知識の蓄積なしに社会に放り出される」格好になってしまいます。
もちろん、不登校の子でも、適応教室などの地域のサポートセンターに通って勉強を続けている子もいます。しかし、その子たちの全日制高校への進学は30%程度にとどまり、定時制や通信制を合わせても進学率は84%であったという調査結果があります。中3全体では98%の進学率を考えると、やはり中学生で不登校になってしまった子にはハンディがある。そこで高校入試前にサポートしたいと思いました。
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