ただ、親御さんにはこのまま社会に出られなくなったらどうしよう、という不安はあって、相談を受けていました。ある女の子は、小2から不登校になっていて、私と出会ったときは中2になっていました。1年後の高校受験に目標を定め、小学校の勉強からさかのぼって全教科を教え、無事県立の上位進学校に合格。高校は皆勤賞だったと聞きました。その後、希望の大学に進み、今は栄養士として働いています。もちろん、個人の能力の差はあると思いますが、基本的なやり方はどんな子でも共通です。自己肯定感を高め、正しいプロセスを踏めば誰でも成績は上げられると思っています。
――――コロナ後に不登校は増えるといわれていますが。
不登校を希望する生徒は今以上に増えるかもしれませんね。そうなったとき、どれだけご家庭が容認するかによって対応は異なってくるでしょう。彼女のような「明るい不登校」も増えるかもしれません。将来的にそれを成功させるかどうかは、一定の学力を持つことが条件の一つになるのではないでしょうか。
私はもちろん学校は大切だと思っていますが、一方で、例えばスポーツ選手や俳優さんのように、自分のやりたいことに時間を使いつつ、効率よく学力を補完することが可能な時代になってきているのも事実です。学校に行って、1から5時限目までいないと学べないか、というとそんなことはない。ただし、本人だけに任せるのは危険だと思っています。
また、親がコーチになりすぎるのも危ない。子どもの逃げ場がなくなってしまうからです。
そして、やはり不登校のままでは困る、というご家庭なら早めにリスタートするきっかけを作るべきでしょう。
――――不登校の子がリスタートするために大切なことは?
「ベストなリスタートの形」は、生徒本人やご家庭の事情によりさまざまです。1日でも早い再登校を目標にされる方もいれば、転校・編入を選択される方、高校から普通高校に通う選択をする方、大学進学に焦点を合わせる方、本人の意向を待つ方もいます。まずは、そのご家庭の状況や生徒本人の希望から、そのご家庭のベストな形、生徒にとってベストな環境を探していく必要があります。
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