AERA 2020年5月4日-11日号より
AERA 2020年5月4日-11日号より

 コロナ対策の効果を分析する目安となる「緊急事態宣言から2週間」が経過した。だが、PCR検査数は目標の「1日2万件」にはほど遠い。宣言解除は、あるのか。AERA 2020年5月4日-11日号に掲載された記事を紹介する。

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「国民とともに戦後最大の危機を乗り越えていく決意だ」

 安倍晋三首相が4月7日、東京都など7都府県に緊急事態宣言を発出してから2週間が過ぎた。新型コロナウイルスの潜伏期間などから対策の効果が出始める目安の時期だが、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査数が伸びないために新規感染者数は横ばいが続き、実態はつかめないままだ。一方、感染拡大阻止のためとして集客施設や店には営業自粛を呼びかけるばかりで、経済支援策は議論の入り口でドタバタを繰り返している。諸外国と比べても政府の対応は立ち遅れ感が強く、5月6日の期限までに宣言が解除される可能性は乏しい。

 宣言が出された7日、厚生労働省が発表した国内での感染者は3906人(検査実施人数5万5311)で、うち80人が死亡。それから2週間後の22日版のデータでは感染者1万1496人(同13万587)で、死亡者は277人になった。感染者も死者も約3倍になったが、オーバーシュート(感染爆発)の指標でもある新規感染者数には顕著な増加は見られない。理由は単純。検査母数が増えないからだ。

 首相は1日2万件を目指すと公言したが、1万件に達した日すらなく、多い日で8千件超、平均では1日約5千件にとどまっている。人口が日本の半分にも満たない韓国が、50万人以上のPCR検査で陽性者の隔離を徹底させ、新規感染者を一桁台までに封じ込めた例と好対照だろう。

 さらに感染者が急増している東京都を例に取ると、この傾向はわかりやすくなる。

 4月7日時点の感染者1194人(検査実施人数4840)に対し、22日は感染者3439人(同9124)と、1日平均の検査数は285件に過ぎない。一方で検査人数に対する陽性者の割合は24.7%から、この間は52.4%と急上昇し、事態の悪化を裏付けている。これまでも感染が明らかになった著名人がブログなどで「なかなか検査してもらえなかった」と訴えるなど、検査のハードルが高いことが知られていたが、この傾向は変わっていない。

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