不登校の原因のひとつに発達障害が挙げられる。例えばASDの子どもは、社会性に困難を抱えがちで学校で目立つ存在になりやすく、叱られたり、からかいの対象になりやすい。

 学校の環境の変化も大きい。中・高の教員を対象に3月に実施したアエラのアンケートで、「発達障害の子どもが不登校になるきっかけ」の実体験として、次のような回答が寄せられた。

「クラスになじめない」「友人とのトラブル」「部活動での燃え尽き」「教科担任制になり、クラス担任が関わる時間が短くなった」「各教科の内容が高度化した」「休み時間の『中休み』がなくなり、教室移動も増える」

 発達障害クリニック附属発達研究所所長の神尾陽子医師は、学校に適応できずに医療につながる子どもには、幼少期から症状があるにもかかわらず、抱えている困難が見た目にはわかりにくいケースも多々あるという。

「親や担任の先生でさえ、その子の“しんどさ”に気付けない場合があります」(神尾医師)

 不安障害やうつ病を併存するケースも見られるため、「単純に思春期の問題と捉えず、その子が抱える困難のもとは何かを見極めることが大切です」(同)。

(ノンフィクションライター・古川雅子)

AERA 2020年4月13日号より抜粋