2000~15年に設立されたESG・SRI関連の投資信託(AERA 2020年4月6日号より)
2000~15年に設立されたESG・SRI関連の投資信託(AERA 2020年4月6日号より)

 地球環境保全のための取り組みは、投資の世界でも健在だ。AERA2020年4月6日号では、SDGsを意識したESG・SRI関連の投資信託のメリットを紹介する。

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 SDGsに貢献しながら、自分の資産を増やすことも期待できるのが「ESG投資」をうたう投資信託だ。ESGは「Environment(環境)」「Society(社会)」「Governance(企業統治)」の略で、投資の世界におけるSDGsと言える。これらに配慮している企業の株式に資金を投じるのがESG投資だ。

「中長期的なリターンを拡大させるうえでは、投資先を選ぶ際の判断材料として、業績面だけでなく、ESGに関する取り組みにも目を向ける必要があるという考え方。ESGに関して問題のある企業を排除するためのふるい分けに用いるケースもあります」

 こう説明するのは、楽天証券経済研究所でファンドアナリストを務める篠田尚子氏。ESGの観点から高く評価される企業群の平均的な株価の推移を示す「ESG指数」も設定されている。言わば日経平均株価のESG版で、私たちの公的年金の原資を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、17年からESG指数への投資を始めている。

 それを機に、ESG投資をうたう投信は急増中だが、篠田氏はこう指摘する。

「ESG投資を掲げている投信の大半は設定されてから日が浅く、まだ十分な実績データがそろっていないので、正当な評価が難しいというのが実態です」

 足元でも新型コロナウイルス騒動で乱高下しているように、株式市場に浮き沈みはつきもの。短期ではなく中長期的に好成果を残せる投信でなければ、安心して資金を託せない。

 実はESG投資が注目される以前から、似たような観点で運用する投信はある。SRI(Socially Responsible Investment=社会的責任投資)を実践するタイプだ。業績や財務だけでなく、企業の社会的責任を果たしているかという観点からも投資判断を行うのが特徴だ。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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