PCブラウザ&スマホアプリゲーム「刀剣乱舞‐ONLINE‐」が今年、5周年を迎えた。2.5次元舞台やアニメ、実写映画化のほか、全国各地の刀剣展にも女性客が殺到するほどの人気で社会現象を巻き起こしている。その魅力はどこにあるのか。「ヒットの方程式」を特集したAERA2020年3月16日号では、原作プロデューサーでニトロプラス社長を尋ねた。
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茨城県水戸市の「徳川ミュージアム」。かつて伊達政宗が愛した刀・燭台切光忠(しょくだいきりみつただ)を前に、刀剣乱舞ファンの女性(34)は身震いするような興奮を覚えた。
「やっと、会えましたね」
女性の前には、漆黒の焼け身の刀と、復元された美しく光る刀が並ぶ。「焼失した」と噂されるほど日の目を浴びてこなかった刀だったが、ファンから問い合わせや寄付が殺到し、復元プロジェクトが始動。18年に公開されるまでに至ったのだ。
愛好者が減少し、維持さえ難しくなりつつあった日本刀。だが、今年5周年を迎えるゲーム「刀剣乱舞‐ONLINE‐」の人気により、状況は一変した。各地の刀剣展には女性客が押し寄せ、クラウドファンディングにより名刀が復元される例も続出。ゲームの枠を超えた社会現象になっている。
「刀剣乱舞‐ONLINE‐」とは、名だたる名刀が戦士の姿となった「刀剣男士」と共に敵と戦うPCブラウザ&スマホアプリゲームだ。プレーヤーは「審神者(さにわ)」と呼ばれ、拠点である「本丸」で刀剣男士たちを育成し、合戦場へと出陣する。2.5次元舞台やアニメ、実写映画にも展開され、とくに舞台は「今最もチケットが取れない」と言われるほど人気が過熱している。その魅力はどこにあるのか。原作を担当するニトロプラスへ向かった。
DMM GAMESとゲームの企画が持ち上がったのは13年頃。モチーフを日本刀にしたのは、その作り手である刀工や刀の持ち主の歴史、そして時代によって形や役割が変化するという物語の豊かさに可能性を感じたからだ。「刀剣乱舞‐ONLINE‐」原作プロデューサーでニトロプラス社長の小坂崇氣(たかき)さんは、こう振り返る。