米ネットフリックスのグレッグ・ピーターズ最高プロダクト責任者(CPO)。インタビューではオリジナルドラマ「全裸監督」の人気についても言及した (c)朝日新聞社
米ネットフリックスのグレッグ・ピーターズ最高プロダクト責任者(CPO)。インタビューではオリジナルドラマ「全裸監督」の人気についても言及した (c)朝日新聞社

 動画配信サービス最大手のネットフリックスは、米国内における会員数は伸び悩むも、海外市場ではその数を増やしている。それは日本を含む国際市場の開拓が重要であることを意味する。「ヒットの方程式」を特集したAERA2020年3月16日号では、今後の展望について同社の幹部に聞いた。

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 全世界の有料会員数が1億6千万人を超え、動画配信サービスとして首位を独走するネットフリックスが、ディズニーやアップルなどライバルからの激しい追走を受けている。

 最高幹部の一人として、同社の方向性を左右するグレッグ・ピーターズ最高プロダクト責任者(CPO)に、昨年、ネットフリックスが世界で打ち出していく次の一手を聞くと、こう返ってきた。

「我々は、ネットを通じた動画配信サービス同士の争いといった形で、競争を狭くとらえてはいない。大手テレビもあるし世界中の映画館、そして世界中で展開されているゲームもある」

■ライバルはゲーム

 娯楽を人々に提供するすべての業界と、消費者の時間を奪い合っている、という感覚がそこにはある。

「そうやって考えていくと、結局は我々がどうやって(自分たちのサービスを)改善していけるのか、というところに戻ってくるんだ。もし我々が、素晴らしい仕事をすれば、消費者は(ネットフリックスを観て)より良い経験ができる。となれば、(世界的な人気オンラインゲームの)フォートナイトよりも、ネットフリックスにより多くの時間を割いてくれるようになる。我々は幅広い競争を、そうやってとらえているんだ」

 動画配信の世界最大手の視線の先にあるのは、業界の枠を超えた、より高次元の戦い、というわけだ。

 とはいえ、昨年10~12月期の四半期決算で、同社の米国内の有料会員の伸びは、当初の予想を下回った。同業他社とのせめぎ合いはリアルに存在している。ウォルト・ディズニーが昨年11月から開始した「ディズニー+(プラス)」は、開始3カ月で有料会員が2860万人に上るほど急成長し、ネットフリックスを急速に追い上げている。アップルがやはり昨年11月に始めた「アップルTVプラス」は、世界で15億台に上る同社の機器のユーザーにアピールし、会員を伸ばす構えだ。

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