教育現場の中にいると、その現状が見えづらい。みんなのコードに入り教育管理職という立場でなく、学校を支える民間の立場で関わるとそれを強く感じる。

 例えば、若い教員はデジタルリテラシーが高く、学校教育に止まらない情報収集力と発信力を持ち備えていることが多い。当然、新しい取り組みにも果敢にチャレンジしたい、と思っている教員も多いはずだ。一般社会では、若い世代の創造性、可能性は大いに発揮するべき、と考えるだろうが、「みんなでやる、みんなが一緒」の学校風潮には馴染まず、埋もれてしまうことも多い。

 4月からのプログラミング教育を例に挙げてみよう。指導計画や指導資料が教育委員会等から示されているので、多くの学校現場は、その通りに取り組めば無難にできるだろう、思っているのが本音ではないだろうか。

 が、今や正解のない時代を迎え、課題を発見把握し解決する納得解が求められている。その解決方法にプログラミングでコンピュータを活用することが示された訳で、ある意味、現実社会の課題解決の縮図でもある。

 プログラミング教育は教科ではないので、指導計画や使う教科書も正解というものはない。まさに、各学校の実態に照らし合わせた創造性が求められている。となれば、若い世代の新たな取り組みに大いに期待したいところだ。その時の使用コンテンツ等を民間が支援するのが、今回の学習指導要領の目玉でもある「社会に開かれた教育課程」の一面ではないだろうか。

 今回のこの原稿を作成している間も、日々、新型コロナウイルスの感染拡大が報道され、ほぼ全国の学校が休校となった。

 各学校は今、児童生徒の学習支援に、健康管理の把握に注力している。社会では、早々に有料の教育コンテンツが無償配信されたり、安価なランチデリバリーがなされたり、多様なサービスが展開され、全国一斉休校による共働き家庭等の新たな課題に、多くの企業団体が取り組み始めた。

 これこそが、社会の課題解決である。今の児童生徒に、課題解決に真剣に取り組んでいる大人の姿を学びなさいと、私は言いたい。テクノロジーあり、人的支援あり、物的環境調整あり、ありとあらゆるリソースを活用して、今回の無類な課題解決に取り組んでいる姿であり、生きたオンタイム教材だと思う。

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