■「反発力」もらう矢先に
対する「野村再生工場」は、万事が地味で、酒も飲まない。オールスターでセ・パの監督としてぶつかったとき、イチローを投手に起用した仰木氏に対して、打者・松井秀喜に投手の代打を送り、ファンサービスのためだけの変則勝負にのらなかったこともある。
「僕は彼のこと好きじゃなかったし、彼は僕のこと好きじゃなかったし……」
だからこそ、26年ぶりのパ・リーグ復帰にあたりライバルと定めていたようで、仰木氏への対抗心というエネルギーをもらおうと思っていた矢先の訃報だったという。
のっけから、亡くなった人の話ばかりで恐縮だが、楽天監督として新年を迎えた野村氏。昨年、38勝97敗(1分)と屈辱的な最下位を味わったチームを引き受けて、どんな勝算を弾いているのだろうか。他のメディアでは、60勝でプレーオフを、とも話しているが、
「それじゃあ出られないんでしょ。最低5割ないと。それを目指しますよ。しかし、寂しい話やね。戦力の差で勝てないというのが、フフフ、一番やっかい。ID野球を使う以前、まず足腰を鍛えるところからやね」
「エースと四番の手あて」が監督受託の条件だったにもかかわらず、その補強も進んでいない。FAで狙った左腕の野口は巨人にさらわれ、抑え候補にしたシコースキーには直前でキャンセルされている。清原、中村紀、江藤ら「大物」も、みんな他球団へ。前西武のフェルナンデスぐらいではねえ、というのが偽らざる気持ちだろう。
唯一の期待、米メッツを退団した石井一久についても、
「無理でしょ。奥さん(元フジアナウンサーの木佐彩子さん)が東京にこだわっているらしい」
と意外にあっさり。
それじゃあ、とキャンプ目前、戦力分析をお願いするべく記者が用意した昨年のチームの個人成績表をおそるおそる見せたところ、
「これは一切見ないんですよ。逆に聞きたいけど、いい数字ありますか? チーム打率だけはリーグ5位らしいけどね。今は選手の情報をいれないようにしている。顔を知っているのは岩隈に、元阪神の沖原、吉田豊、ベテランの飯田、関川くらいかな」