「日本酒界のスティーブ・ジョブズ」が造る日本酒とは? 酒蔵にも独創性求める時代に (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「日本酒界のスティーブ・ジョブズ」が造る日本酒とは? 酒蔵にも独創性求める時代に

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小柳暁子AERA
【GEM by moto】千葉麻里絵さんは岩手県盛岡市出身。山形大学で食品の物質工学を学んだ。著書に『日本酒に恋して』『最先端の日本酒ペアリング』(宇都宮仁氏と共著)(撮影/植田真紗美)

【GEM by moto】千葉麻里絵さんは岩手県盛岡市出身。山形大学で食品の物質工学を学んだ。著書に『日本酒に恋して』『最先端の日本酒ペアリング』(宇都宮仁氏と共著)(撮影/植田真紗美)

GEM by motoの大型冷蔵庫。「酒の声が聞こえる(笑)」と日本酒ソムリエの千葉麻里絵さんは言う。「今日はこの子が『私がいけてるから飲んで!』とか。こっちも『頼むよー』などと、話しかけています」(撮影/植田真紗美)

GEM by motoの大型冷蔵庫。「酒の声が聞こえる(笑)」と日本酒ソムリエの千葉麻里絵さんは言う。「今日はこの子が『私がいけてるから飲んで!』とか。こっちも『頼むよー』などと、話しかけています」(撮影/植田真紗美)

【GEM by moto】お燗、ブレンド、ホイッパージュなど様々な手段で日本酒の可能性を引き出す。人気メニュー「ブルーチーズハムカツ×どぶろく」(右)/東京都渋谷区恵比寿1-30-9 月曜定休(撮影/植田真紗美)

【GEM by moto】お燗、ブレンド、ホイッパージュなど様々な手段で日本酒の可能性を引き出す。人気メニュー「ブルーチーズハムカツ×どぶろく」(右)/東京都渋谷区恵比寿1-30-9 月曜定休(撮影/植田真紗美)

 現在、戦後何度目かの日本酒ブームが起きている。蔵元がそれぞれの個性を生かした酒造りに取り組んでいるが、かつてはブームが日本酒の「個性」を潰してしまった時代もあった。AERA 2020年2月17日号の記事では日本酒を取り巻く、これまでとこれからの環境の変化について、紐解いていく。

【写真】日本酒ファンが集うGEM by motoの大型冷蔵庫の中身はコチラ

*  *  *
 戦後、何度かの日本酒ブームがあった。日本酒というとアルコールや糖類を添加した甘くて重い酒。そのイメージを変えたのが、1970年代後半から80年代にかけての地酒ブームだ。「越乃寒梅」(石本酒造)や「八海山」(八海醸造)といった新潟の銘柄が売れ、「淡麗辛口」ブームと呼ばれた。バブル期には高級志向の「大吟醸」ブームもきた。しかしブームのたびに似たような酒が量産されることになり、個性を失った日本酒への興味をなくす消費者も多かった。

 そんな中、日本酒を取り巻く状況も変化した。92年には「特級酒」などの日本酒級別制度が廃止され、06年には酒税法改正で、醸造アルコールや糖類、グルタミン酸ソーダなどで「水増し」した三倍増醸酒(三増酒)は清酒を名乗れなくなった。95年に食糧管理法が廃止。米の流通が自由になり、酒蔵は農家から直に米を調達できるようになった。近年では自ら米作りを行う酒蔵も増えてきた。09年の農地法改正では、一般企業の農業参入も容易になった。

 こうした流れを受け、現在、ブームに流されず蔵元がそれぞれの蔵の個性を生かした酒造りに自ら取り組んでいる。

 恵比寿にカウンター等19席の日本酒バーがある。GEM by moto。世界中から日本酒ファンが来店し、全席が外国からのお客さんで占められる時もあるという。

 この店の特徴は、日本酒ソムリエの千葉麻里絵さん(35)が化学的な知識を背景に緻密に計算して考案した、日本酒と料理のペアリングだ。

 千葉さんが日本酒研究にのめりこんだきっかけは、「日本酒のお店に行っても、好みのお酒がばちっと出てこなかった」こと。自分で伝える語彙が少なかったこともあるが、ワインのソムリエに比べると、日本酒は曖昧な提供をしていると感じた。


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